土方さんちの美味しいご飯〜鬼の副長はワンコ系イケメンの溺愛で甘くほだされる〜

天咲 琴葉

文字の大きさ
上 下
36 / 94

近藤勇という人は②

しおりを挟む
優の言葉に、思わず叫び出してしまいそうになる俺。

だが、俺はすんでのところでそれを我慢した。

(優が近藤さんの子孫だって……?!)

そんなこと、一体誰が考えただろう。

と、同時に妙に納得もしてしまう。

(成る程、優が近藤さんの子孫だったから、俺はあの世から呼び戻されたのか)

と。

いや、納得したのはそれにだけではない。

(俺が、コイツに……いや、コイツの笑顔に、こうもほだされちまったのは、きっと……)

「似ていた」からだ――。

大切で……でも、救えなかったあの人に……。

だから、きっと、放って置けなかった。

優のあの苦しげな――泣きそうな表情を見た瞬間、あそこまで心がざわついたのは、きっと、近藤さんを重ねていたからなんだ。

救いたくても救えなかったあの人。

その近藤さんが捕縛ほばくされ……連行されていく時に見せた表情と、この前優が見せたあの表情は、本当に瓜二つだったのである。

近藤さんが連れて行かれるあの忌まわしい瞬間を思い出し、思わず胸がつまりそうになる俺。

と、同時に俺は理解した。

(そうか……。きっと俺は、近藤さんをあの時救えなかった代わりに……近藤さんの子孫であるコイツを生かす為、この世に呼び戻されたんだ……)

そう――どうやら、シャレの効いた神様とやらは、こんな俺に、二度目の機会をくれたらしい。

今度こそ、大切な者を守り切る機会を。

ならば、やることは一つである。

俺は、今にも消えてしまいそうな程はかない雰囲気をまとった優の両手をぎゅっと強く握った。

「刀も指輪も取り戻すぞ、優」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...