土方さんちの美味しいご飯〜鬼の副長はワンコ系イケメンの溺愛で甘くほだされる〜

近藤勇という人は

（何故……？！何故、あの人の愛刀がコイツの家に……？！）

そう、優が告げたその刀の名前――それは紛れもなく、俺の掛け替えのない同士であった局長、近藤こんどう 勇いさみの愛刀の名前だったのだ。

ソレは近藤さんが処刑された後、長年行方不明とされていた。

俺の生きていた時代では、刀は武士の魂とも呼ばれていた為、近藤さんの魂でもあったソレを政府の奴らは敢あえて隠しているのだろうと疑う隊士達も複数いた程だ。

実際、近藤さんの刀を取り返そうと、政府に侵入を試みた奴らも沢山いる。

だが、結局近藤さんの愛刀長曽祢虎徹は全く見つからなかった。

その刀が――新撰組の隊士全員が探し回った大切な局長の魂が、写真ではあるが、今目の前にある。

俺はその衝撃と感動に、涙が溢れ出してくるのを止めることが出来なかった。

と、同時にある疑問が俺の中に浮かび上がる。

「……何でこの刀がお前の家にあるんだ？」

すると、優は――俺に柔らかく微笑んでみせた。

「それは、私が彼……近藤勇の嫡流……所謂、直系の子孫だから、かな」

「っ……？？！」