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不意打ち
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翌日。
昨日話していた通り、でんきや、とやらにてれびを買いに行くことになった俺。
「今日行くところは昨日のスーパーよりももっと混んでいるし、何より電車に乗っていくからね。土方さん、迷子になったら戻って来れなくなっちゃうよ?困るだろう?」
そうやんわりと笑顔で脅された俺は、優と手を繋いで歩くことを渋々了承した。
一方、俺なんぞと手を繋げるのが余程嬉しいのかーー優は上機嫌で歩き始める。
と、優が歩きながら、繋いだ俺の手……その指に、自らの指を絡めて来た。
「土方さんが迷子にならない様に、ね?」
そう言って、優しく微笑む優。
そんな彼の笑顔がなんとなく眩しくて、俺はつい目を逸らす。
「おや?何でそっちを向いちゃうんだい?寂しいなぁ。折角のデートなんだから、もっと私のことを見てほしいのだけど」
ぷいと反対を向いたままの俺に、優が至極残念そうに声を上げる。
だが、俺は気にせずーーというか、いつの間にか熱くなっていた頬を優には気付かれたくなくて、敢えてつっけんどんに言葉を返した。
「あぁ?知るか。というか何だ、でーとってのは」
と、繋いだままだった手ごと、優に強く抱き寄せられる。
優は俺を背後から……そのまま包み込む様に抱き締めると、耳元に唇を寄せてきた。
途端に、より体温が上がり、熱くなっていく俺の肉体。
これは――まずい。
……俺は、『知って』しまっているのだ。
優が囁いて来る時の吐息の熱さを。
耳をくすぐる、蕩ける様な言葉の甘やかさを。
知っているからこそ、俺の肉体は愚かにも……まるで与えられるであろう甘美さを期待し、熱を帯び始めてしまったのである。
昨日話していた通り、でんきや、とやらにてれびを買いに行くことになった俺。
「今日行くところは昨日のスーパーよりももっと混んでいるし、何より電車に乗っていくからね。土方さん、迷子になったら戻って来れなくなっちゃうよ?困るだろう?」
そうやんわりと笑顔で脅された俺は、優と手を繋いで歩くことを渋々了承した。
一方、俺なんぞと手を繋げるのが余程嬉しいのかーー優は上機嫌で歩き始める。
と、優が歩きながら、繋いだ俺の手……その指に、自らの指を絡めて来た。
「土方さんが迷子にならない様に、ね?」
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そんな彼の笑顔がなんとなく眩しくて、俺はつい目を逸らす。
「おや?何でそっちを向いちゃうんだい?寂しいなぁ。折角のデートなんだから、もっと私のことを見てほしいのだけど」
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だが、俺は気にせずーーというか、いつの間にか熱くなっていた頬を優には気付かれたくなくて、敢えてつっけんどんに言葉を返した。
「あぁ?知るか。というか何だ、でーとってのは」
と、繋いだままだった手ごと、優に強く抱き寄せられる。
優は俺を背後から……そのまま包み込む様に抱き締めると、耳元に唇を寄せてきた。
途端に、より体温が上がり、熱くなっていく俺の肉体。
これは――まずい。
……俺は、『知って』しまっているのだ。
優が囁いて来る時の吐息の熱さを。
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