土方さんちの美味しいご飯〜鬼の副長はワンコ系イケメンの溺愛で甘くほだされる〜

天咲 琴葉

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はじめてのお出かけ④

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こうして、すうぱあとやらの店内に入った俺達。

その圧倒的な広さと品揃えに、俺は息を呑んだ。

(未来には、こんなに沢山食い物があるのか……)

俺は、所狭しと並べられた野菜や果物を見つめながら、ふと自分が生きていた時代に思いを馳せる。

あの頃は――幸いにも、俺達は食う物には困らない生活が出来ていたが、市井しせいの人々の中には食うや食わずの……その日の食い物にも困る様な生活をしていた人々がいたことを、俺は知っていた。

それに、そんな俺達だって……賊軍ぞくぐんとして扱われ、北に逃げている最中は、食う物にも困り、日々生きて行くのに精一杯な生活をしていたことを、今でもよく覚えている。

だからこそ――。

「この恵まれた光景を……一度で良いから仲間達に見せてやりたかったな……」

心からそう思う俺。

毎日食べられる物があることは――それが手が届く距離にあり、買える金があることは決して「当たり前」じゃない。

でも、この未来では……こんなにも自由に誰もが食い物を手にし、笑い合っているではないか。

自分達が生きた先に、こんなにも幸せな未来が待っている。

そう思うと、なんだか胸が熱くなって来る俺。

と、不意に優の……俺の手を握る力が強くなった。

彼は俺に優しく微笑むと、

「土方さん達が必死に生きて……時代を切り開いてくれたから。それが積み重なって、今の未来があるんだよ」

静かにそう語りかけて来る。

(そうなら……侍として命懸けで戦って来たあの日々も……道半ばで死んでしまったあの日ですらも、きっと、悪くない。無駄じゃない)

俺は、優の言葉にふっとひとり笑みを浮かべた。
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