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はじめてのお出かけ②
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「なっ?!何言ってんだよ!ばーか!」
俺は熱くなってしまった頬を隠す様に俯くと、乱暴に優にそう告げる。
そして、繋いだままだった優の手を思い切り引っ張って小走りに歩き出した。
と、そんな俺に対してとても楽しそうに声をかけて来る優。
「土方さん、道知ってるの?」
優の言葉に俺ははたと足を止めると、再度恨みの念を込め、優を見上げる。
新撰組にいた頃は、俺がこうやって睨めば隊士達は皆震え上がったものだが――どうやら、この男にそれは一切通用しないらしい。
寧ろ、「怒った顔も可愛いねぇ」などと宣いながら、繋いだ手ごと俺を引き寄せようとして来る。
「こんのバカっ!構うな!じゃれるな!早く案内しやがれ!」
「えー。でも、土方さん、随分スタスタ歩いて行くからさぁ。てっきり道を知ってるのかと思ってー」
コイツはきっと、俺を揶揄って心底楽しんでいるのだろう。
と、先程よりも楽しそうな笑顔で――優が不意に、俺にこう告げて来た。
「それに。私は、土方さんからのお誘いだと思ったんだけどなぁ?」
「は?お誘い?」
全くもって意味のわからない優の言葉。
すると、優がにこにこと胡散臭い笑顔を浮かべたまま、こう問いかけて来た。
「うん。……土方さん、この道の先……このまま真っ直ぐ行ったら、何があるか知ってる?」
そんなこと知る訳ねぇ。
俺は目を細めると、胡乱げに優をじっと見つめる。
と、優はより楽しそうな表情を浮かべ、こう言った。
「この道はね、このまま行ったら、突き当たりにラブホテルがあるんだよ」
「らぶほてる???」
一切聞いたことのない言葉に、俺は大きく首を傾げる。
と、優が繋いだ手ごと俺を抱き寄せて来た。
そうして、俺の耳元に唇を寄せ、こう囁く。
「……連れ込み宿、だよ」
甘く艶のある、低い……男らしい声。
耳朶に優の吐息がかかり、全身に甘やかな痺れが広がって行く。
「土方さん、私のものになってくれるのかい……?」
「っ……!」
優の声が、熱い吐息が、俺の脳から正常が思考力を根こそぎ奪って行こうとする。
俺は思わずぎゅっと繋がれていない方の手で拳を握ると――、
「やめんかこのバカタレが!!!」
思い切り全力で優の顔面を殴り倒した。
俺は熱くなってしまった頬を隠す様に俯くと、乱暴に優にそう告げる。
そして、繋いだままだった優の手を思い切り引っ張って小走りに歩き出した。
と、そんな俺に対してとても楽しそうに声をかけて来る優。
「土方さん、道知ってるの?」
優の言葉に俺ははたと足を止めると、再度恨みの念を込め、優を見上げる。
新撰組にいた頃は、俺がこうやって睨めば隊士達は皆震え上がったものだが――どうやら、この男にそれは一切通用しないらしい。
寧ろ、「怒った顔も可愛いねぇ」などと宣いながら、繋いだ手ごと俺を引き寄せようとして来る。
「こんのバカっ!構うな!じゃれるな!早く案内しやがれ!」
「えー。でも、土方さん、随分スタスタ歩いて行くからさぁ。てっきり道を知ってるのかと思ってー」
コイツはきっと、俺を揶揄って心底楽しんでいるのだろう。
と、先程よりも楽しそうな笑顔で――優が不意に、俺にこう告げて来た。
「それに。私は、土方さんからのお誘いだと思ったんだけどなぁ?」
「は?お誘い?」
全くもって意味のわからない優の言葉。
すると、優がにこにこと胡散臭い笑顔を浮かべたまま、こう問いかけて来た。
「うん。……土方さん、この道の先……このまま真っ直ぐ行ったら、何があるか知ってる?」
そんなこと知る訳ねぇ。
俺は目を細めると、胡乱げに優をじっと見つめる。
と、優はより楽しそうな表情を浮かべ、こう言った。
「この道はね、このまま行ったら、突き当たりにラブホテルがあるんだよ」
「らぶほてる???」
一切聞いたことのない言葉に、俺は大きく首を傾げる。
と、優が繋いだ手ごと俺を抱き寄せて来た。
そうして、俺の耳元に唇を寄せ、こう囁く。
「……連れ込み宿、だよ」
甘く艶のある、低い……男らしい声。
耳朶に優の吐息がかかり、全身に甘やかな痺れが広がって行く。
「土方さん、私のものになってくれるのかい……?」
「っ……!」
優の声が、熱い吐息が、俺の脳から正常が思考力を根こそぎ奪って行こうとする。
俺は思わずぎゅっと繋がれていない方の手で拳を握ると――、
「やめんかこのバカタレが!!!」
思い切り全力で優の顔面を殴り倒した。
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