私を返せ！〜親友に裏切られ、人生を奪われた私のどん底からの復讐物語〜

第一部 Side 永宮 真紀

母の優しさ

その翌日、私と剛志は改めてーー一緒に留学したい旨を剛志のお母さんに報告した。

「……不思議ね。真紀ちゃんから留学をしたいって聞いた時から、こうなる予感はしていたの」

私達の報告を聞き、ほんの少しだけ寂しそうに微笑みながらそう告げる剛志のお母さん。

私は、そんな彼女に深く頭を下げた。

「あのっ……本当にごめんなさい……！」

剛志をーーあなたの大切な息子さんを、こんなにも巻き込んでしまって……。

私は、剛志のお母さんに罵倒されるのを覚悟で、頭を下げ続けた。

けれどーー。

「言ったでしょう？……私はね、こうなる予感をしていたの。それに、剛志が貴女と一緒に海外に行くことを……私は、決して恨んではいないのよ」

彼女はそう告げると、私の頭をそっと撫でた。

そうして、穏やかな眼差しで、こう語りかけてくる。

「真紀ちゃん。私はね？男の子は……いつか、愛した女の子を守る為、結婚でも留学でも……どんな形であっても、旅立つものだと思っているのよ。そして、剛志にとってはそれが今だと思っているの」

「お母さん……」

剛志のお母さんの言葉に、私は思わず顔を上げると彼女を見上げる。

そんな私と視線を重ねたまま、剛志のお母さんは先程より柔らかくーー優しく、微笑んだ。