96 / 115
第一部 Side 永宮 真紀
2人だけの時間④
しおりを挟む
私は唇をぎゅっと噛み締めたまま、ただひたすらに俯いていた。
と、そんな私の頭にーー剛志が再度、そっと手を乗せて来る。
そうして、下から私の顔を覗き込む様にしながら、こう問いかけて来た。
「……もしかして、俺に見捨てられるって思った?」
「っ……?!な、んで……?!」
(何で、私の考えてることがわかったの……?!)
私は驚きと共に彼を見つめる。
すると、剛志はにっと悪戯っぽく笑ってみせた。
「お前の考えてることなんてお見通しなんだよ。……それにさ?多分……俺もお前と同じ気持ちだから」
「えっ……?!」
(同じ、気持ち……?)
ーー剛志が?私と?
(もしかして、それは……)
私ははやる気持ちを抑えながら、彼を見つめる。
そうして、ドキドキする心臓で押し潰されてしまいそうになりながら、言葉を絞り出した。
「同じ、気持ちって……剛志……それって……もしかして……?」
すると、私の言葉に剛志が大きく頷いてみせる。
「ああ。俺もさ、お前が好きだよ。真紀。……だから、お前の気持ちも……ちゃんとお前の言葉で、聞かせてくれねぇ?確かめたいんだ。……良いだろ?」
「っ……!」
剛志の言葉に、私は息を呑む。
(私の、言葉で……)
ーー思えば、私と剛志は昔から一緒にいるのが当たり前で……だからこそ、気持ちを言葉にすることが減っていたのかもしれない。
いや、言葉にしなくても伝わる私達だったから……言葉にする必要がないと勝手に私は思ってしまっていたのだ。
と、そんな私の頭にーー剛志が再度、そっと手を乗せて来る。
そうして、下から私の顔を覗き込む様にしながら、こう問いかけて来た。
「……もしかして、俺に見捨てられるって思った?」
「っ……?!な、んで……?!」
(何で、私の考えてることがわかったの……?!)
私は驚きと共に彼を見つめる。
すると、剛志はにっと悪戯っぽく笑ってみせた。
「お前の考えてることなんてお見通しなんだよ。……それにさ?多分……俺もお前と同じ気持ちだから」
「えっ……?!」
(同じ、気持ち……?)
ーー剛志が?私と?
(もしかして、それは……)
私ははやる気持ちを抑えながら、彼を見つめる。
そうして、ドキドキする心臓で押し潰されてしまいそうになりながら、言葉を絞り出した。
「同じ、気持ちって……剛志……それって……もしかして……?」
すると、私の言葉に剛志が大きく頷いてみせる。
「ああ。俺もさ、お前が好きだよ。真紀。……だから、お前の気持ちも……ちゃんとお前の言葉で、聞かせてくれねぇ?確かめたいんだ。……良いだろ?」
「っ……!」
剛志の言葉に、私は息を呑む。
(私の、言葉で……)
ーー思えば、私と剛志は昔から一緒にいるのが当たり前で……だからこそ、気持ちを言葉にすることが減っていたのかもしれない。
いや、言葉にしなくても伝わる私達だったから……言葉にする必要がないと勝手に私は思ってしまっていたのだ。
10
お気に入りに追加
53
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

乙男女じぇねれーしょん
ムラハチ
青春
見知らぬ街でセーラー服を着るはめになったほぼニートのおじさんが、『乙男女《おつとめ》じぇねれーしょん』というアイドルグループに加入し、神戸を舞台に事件に巻き込まれながらトップアイドルを目指す青春群像劇! 怪しいおじさん達の周りで巻き起こる少女誘拐事件、そして消えた3億円の行方は……。
小説家になろうは現在休止中。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。
ながしょー
青春
ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。
このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる