私を返せ！〜親友に裏切られ、人生を奪われた私のどん底からの復讐物語〜

第一部 Side 永宮 真紀

苦渋の決断③

私のその台詞に、とても悲しげな表情を見せる剛志のお母さん。

私は、そんな彼女に慌てて言葉をかける。

「誤解しないでください！あなたの……お母さんの優しさが足りなかったとか、この家に居づらかったとかそんなんじゃないんです！ただ……あなたが本当に優しいから。だからこそ、私は余計に実の母を思い出してしまったんです……」

自分でもそう言いながら、彼女への申し訳なさと実の母への思いで泣きたくなってくる私。

と、そんな私の頭をーー剛志のお母さんはそっと撫でてくれた。

そうして、そのまま優しく抱き締めてくれる剛志のお母さん。

私は、涙に濡れたままの瞳で彼女を見上げる。

すると、そんな私にーー剛志のお母さんも涙で潤んだ瞳で微笑んでみせた。

「……本当はね、ずっと分かっていたのよ。あなたはいつか……全てを取り戻すため、遠くに行ってしまうだろうって。あなたが働くのを認めたあの日から……こんな日が来る予感はしていたの」

剛志のお母さんは両の瞳から涙を溢れさせながら、私にそう語りかける。

「引き止められないのはわかってた。でも……あなたにはこれ以上苦しんでほしくなくて、気づかないふりをしていたの。ズルいお母さんよね……。私は、あなたにも、幸せになって欲しかったのよ……何もかも忘れて……女の子として……」

剛志のお母さんが語る言葉の端々から、私への愛情が痛い程溢れているのに気づき、止め処なく涙を流す私。

そんな私を、剛志のお母さんはずっと抱き締め続けてくれていた。