私を返せ！〜親友に裏切られ、人生を奪われた私のどん底からの復讐物語〜

第一部 Side 永宮 真紀

邂逅

そうして、歩き続けること数分後。

私はやっと、剛志が暮らす団地の前に到着した。

（やっと、剛志に会える……！）

そう胸を弾ませて、ズキズキと痛む足を引きずり、団地の入り口に近づく私。

と、そんな私の目の前で――なんと剛志が入り口から出てきたではないか。

（嘘っ……？！剛志……？！）

まるで神様が味方してくれたかの様な奇跡と幸運に、私は思わず目を見開き、足の痛みも忘れて彼に駆け寄ろうとする。

が、そこで私はおかしなことに気がついた。

団地の入り口から出てきた彼は、やけにおどおどし――しきりにきょろきょろと周囲の様子を窺うかがっているのである。

（なんだろう……。あんなの、剛志らしくない）

私は、何か予感めいたものを感じ、彼に駆け寄るのを暫しばし待った。

そして、物陰に身を隠すと彼の様子をじっと観察してみる。

すると、彼が入り口の中に大きく手を振って合図を送るや、中から彼の母と兄が姿を現したではないか。

しかも、尋常ではないほど多くの荷物を持って。

そんな彼らの様子を見ていた私は、ある1つの結論に達する。

（もしかして……剛志達、今から夜逃げするつもりなの？）