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第一部 Side 永宮 真紀
絶望⑤
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「っ??!!」
悲鳴は上げられないものの、声にならない声をあげる私。
風香はそんな私を見るや、笑顔のまま自分の頬から包丁を引き抜いた。
彼女の頬から吹き出した血が、目の前にいる私の顔にビシャリとかかる。
が、そんなことは一切気にする素振りは見せず、再度――今度は、自分の反対側の頬に包丁の刃を埋める風香。
彼女は、自分で自分の顔を笑顔で何度も突き刺しながら、こう言い放った。
「ほら、ね?私が、こうして自分の顔を潰しておけば、警察に見つけて貰った時、私が「真紀です」って言っても……別人だってバレないでしょう?」
なんて――なんて恐ろしい考えをしているんだ。
私は、顔中を血塗れにしながらそう語る風香に戦慄する。
と、不意に自らの顔を切り刻むのを止める風香。
彼女は可愛らしく右手を元は頬だった場所にあてるや、小さく小首を傾げ、何かを考えている素振りを見せた。
「あぁ……でも、そっかぁ。私だけ顔がぐちゃぐちゃでも駄目なんだよね。真紀ちゃんの顔が無事だったら……私が偽物だってバレちゃうよねぇ?」
風香のその台詞に、息を呑む私。
すると、そんな――恐怖に引き攣る私に、笑顔のまま風香がゆっくりと近付いてきた。
「さっき、痛いことはしないって言ったのにごめんね?でも、私が真紀ちゃんになるためには、どうしても必要なことなんだ。私が幸せになるためだもん。優しい真紀ちゃんは許してくれるよね?協力、してくれるよねぇ……?」
そう告げるや、風香は大きく包丁を振り翳した。
(い、い、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!)
悲鳴は上げられないものの、声にならない声をあげる私。
風香はそんな私を見るや、笑顔のまま自分の頬から包丁を引き抜いた。
彼女の頬から吹き出した血が、目の前にいる私の顔にビシャリとかかる。
が、そんなことは一切気にする素振りは見せず、再度――今度は、自分の反対側の頬に包丁の刃を埋める風香。
彼女は、自分で自分の顔を笑顔で何度も突き刺しながら、こう言い放った。
「ほら、ね?私が、こうして自分の顔を潰しておけば、警察に見つけて貰った時、私が「真紀です」って言っても……別人だってバレないでしょう?」
なんて――なんて恐ろしい考えをしているんだ。
私は、顔中を血塗れにしながらそう語る風香に戦慄する。
と、不意に自らの顔を切り刻むのを止める風香。
彼女は可愛らしく右手を元は頬だった場所にあてるや、小さく小首を傾げ、何かを考えている素振りを見せた。
「あぁ……でも、そっかぁ。私だけ顔がぐちゃぐちゃでも駄目なんだよね。真紀ちゃんの顔が無事だったら……私が偽物だってバレちゃうよねぇ?」
風香のその台詞に、息を呑む私。
すると、そんな――恐怖に引き攣る私に、笑顔のまま風香がゆっくりと近付いてきた。
「さっき、痛いことはしないって言ったのにごめんね?でも、私が真紀ちゃんになるためには、どうしても必要なことなんだ。私が幸せになるためだもん。優しい真紀ちゃんは許してくれるよね?協力、してくれるよねぇ……?」
そう告げるや、風香は大きく包丁を振り翳した。
(い、い、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!)
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