私を返せ！〜親友に裏切られ、人生を奪われた私のどん底からの復讐物語〜

第一部 Side 永宮 真紀

狂ってる

「だって、私はこんなに可哀想なのに。真紀ちゃんは何をそんなに怒っているの？私は可哀想なのだから、皆……真紀ちゃんも優しくしてくれて当然でしょう？私は毎日毎日痛いことに耐えているのだから。幸せな真紀ちゃんは、不幸な私に何をされたっていいじゃない」

小さく微笑みすら浮かべ、しれっと風香は私にそう語りかける。

（風香の頭の中がこんなことになってたなんて。こんな考え理解できない。ううん、理解したくない。流石におかしすぎる）

風香の破綻している――エゴに満ちた理論に圧倒されかかる私。

けれど、ここで怯んではいけないと、私も負けじと口を開いた。

「悪いけど、私はそうは思わない。痛いことに耐えてる人だって、虐待されてる人だって、世の中には沢山いるわ！でも、皆頑張ってる！風香みたいに他人に迷惑をかけたりしないし、自分の力だけで生き抜こうとしてる！あんたみたいに、エゴに満ちた考え方をしてないわ！」

頭の中に――親に虐待を受けてもなお強く生き、私を陰日向に支えてくれている剛志の姿を想像しながら、私はそう反論する。

と、風香はその言葉を聞くや、美しい真紅の唇をにぃと三日月型に歪めて言った。

「ふぅん……？それって、御簾田みすだくんのこと？」