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第一部 Side 永宮 真紀

決別

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(……だめだ。私は風香とはもう会わない。距離を置くって決めたんだから)

胸の中で自分自身に何度もそう言い聞かせる私。

と、私からの同情の言葉がない事に失望したのか――風香があからさまにトーンの下がった、悲しげな声で私にこう問いかけてくる。

「真紀ちゃんは……私のこと、可哀想ってもう言ってくれないの?助けてあげなきゃって思ってくれないの?あんなに優しかったのに」

「そうね……。確かに、可哀想だったし、優しくしたわ」

可哀想と告げた私の言葉に、風香がぱっと瞳を輝かせた。

が、私はそのまま言葉を続ける。

「でも、それはこの前まで。先に私の気持ちを……信頼を裏切ったのはあなたでしょう?私はね、あなたに殺されかけたのよ。私は、それを絶対に許さない!」

風香の目をまっすぐに見つめ、はっきりとそう告げる私。

瞬間、風香は大きく首を傾げた。

「許さない?なんで?」

「はぁっ?!あなた、本気で言ってるの?!私は、死にかけたんだよ?!親友だと思ってたあなたに、殺されそうになったの!覚えてるよね?!あなたが自分で私の首を絞めたこと!」

まるで、「私は何も悪いことをしていませんが?」とでも言いたげな風香の態度に激怒し、思わず声を荒らげる私。

が、風香は私に怒鳴られてもなお、可愛らしく小首を傾げたままだった。
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