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第一部 Side 永宮 真紀
幼馴染み④
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放課後の教室で、2人だけで肩を寄せ合いながら、合言葉の話をする私と剛志。
「だからさ?他の誰にもわかんないようなものがいいと思うんだよな」
剛志は片手を指揮を取る様にヒラヒラさせながら、得意げにそう語る。
そんな彼の肘や腕に真新しい痣をいくつか見つけて、私は顔を顰めた。
「……ねぇ、それ。新しい痣、増えてる。また、お父さんにやられたの?」
剛志は私の問いかけにふいと目を逸らした。
――そう、実は剛志も風香同様に、父親からの虐待に遭っていた。
剛志のお父さんは酒乱で、アルコールが入ると、よく剛志や剛志のお兄さん、それに剛志のお母さんにまで暴力を振るっていたのだ。
「仕方ないよ。あいつは言葉が通じない怪物なんだ」
どこか諦めた様に――それでいて、どこかあっけらかんとそう告げる剛志。
彼は教室の窓から沈みゆく太陽に目を向けると、そっと呟いた。
「だからさ。俺はいつか出ていく。母さんと兄ちゃんを連れて、あいつから自由になるんだ。もう、殴られるのに毎日怯える生活はうんざりなんだよ」
両手をぐーっと伸ばし、伸びをしながら剛志はそう語る。
私は、そんな彼を見つめながら、一抹の不安を感じていた。
(……いつか出ていくって……今、とかじゃないよね)
そう……もし、剛志が今いなくなってしまったらーー。
彼のいない毎日がやってくるとしたら。
(私は、どうしたら良いんだろう……)
それ程までに、一緒にいるのが当然であり自然だった幼馴染。
私は、早く彼が暴力を振るう父親から解放されるのを願いつつも、出来る事なら遠くへ行かないで欲しい――そんな矛盾した願いを抱えていた。
「だからさ?他の誰にもわかんないようなものがいいと思うんだよな」
剛志は片手を指揮を取る様にヒラヒラさせながら、得意げにそう語る。
そんな彼の肘や腕に真新しい痣をいくつか見つけて、私は顔を顰めた。
「……ねぇ、それ。新しい痣、増えてる。また、お父さんにやられたの?」
剛志は私の問いかけにふいと目を逸らした。
――そう、実は剛志も風香同様に、父親からの虐待に遭っていた。
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「仕方ないよ。あいつは言葉が通じない怪物なんだ」
どこか諦めた様に――それでいて、どこかあっけらかんとそう告げる剛志。
彼は教室の窓から沈みゆく太陽に目を向けると、そっと呟いた。
「だからさ。俺はいつか出ていく。母さんと兄ちゃんを連れて、あいつから自由になるんだ。もう、殴られるのに毎日怯える生活はうんざりなんだよ」
両手をぐーっと伸ばし、伸びをしながら剛志はそう語る。
私は、そんな彼を見つめながら、一抹の不安を感じていた。
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(私は、どうしたら良いんだろう……)
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