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第一部 Side 永宮 真紀

彼女の狂気のかけら②

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――幾ら私になりたいからってここまでするものなの?

頭の中で激しくそう疑問に思う私。

私は、ぎこちなく笑顔を作りながら、隣で腕を絡ませる風香に視線を向ける。

「で、でも……流石にちょっとこれは、やり過ぎ、じゃない?」

風香に嫌われない様、私は頑張って笑顔を顔に貼り付けたままそう告げる、が――風香が身につけていた『ある物』に気づいて息を呑んだ。

それは――。

(この髪飾り……!)

そう、可愛らしくおさげ髪にした風香がつけている髪留めだった。

シンプルな黒いゴムに、美しい緑色のガラスのビーズが2つ程ついている髪留めなのだが、私はそれと全く同じものをブレスレットの様に毎日手首につけていたのだ。

「風香……?その、髪飾り……」

一体、どうしたの――?

友人にそう問いかけようと思うが、不測の事態に舌が強張り言葉が出ない。

すると、風香の方が私の発した言葉の意味を理解した様で、にっこりと天使の様に微笑んだ。

「ああ、これ?これね?真紀ちゃんのおじいちゃんに作って貰ったのよ」

(やっぱり……!)

風香が愛くるしく語った言葉の内容に激しく戦慄する私。

何故なら、私が大切にいつも身につけているこの髪留めは、ガラス職人である祖父が私の為だけに作ってくれた、世界で1つだけの品だったからだ。

「私がね?真紀ちゃんの親友ですって言ったら……真紀ちゃんのおじいちゃん、喜んで作ってくれたのよ」
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