私を返せ！〜親友に裏切られ、人生を奪われた私のどん底からの復讐物語〜

第一部 Side 永宮 真紀

そして、親友へ②

ある日の放課後。

「ありがとう。真紀ちゃんと真紀ちゃんのお母さんのおかげで、私……毎日がとっても楽しいわ」

少しだけ離れた町の児童館で行われる「アラビアンナイト」の劇を見に、相変わらず自転車を飛ばして行った私と風香。

その際――到着して席に着き、劇が始まる寸前、風香は柔らかく微笑むと、私の瞳をまっすぐに見つめながらそう告げて来る。

「私も、風香と遊んでるとすっごく楽しいよ！」

風香の形の良い茶色の瞳を見つめたまま、私もそう答えた。

すると、風香が不意に私の手をぎゅっと握って来る。

「ねぇ、真紀ちゃん？真紀ちゃんはね、強くて格好良くて……お勉強も運動もできるし、私の憧れなの。私、真紀ちゃんみたいに……ううん、真紀ちゃん『に』なりたいな」

（私になりたい？？変なの）

風香のその発言を聞き、正直首を捻る私。

だって、おかしいのだ。

確かに私の方が運動神経は良かったかもしれないが、勉強はからっきし。

風香の方が成績は断然上だったのだ。

（それに、見た目だって風香の方が絶対可愛いし）

私なんて常に外で遊んでいるからか、日に焼けて色黒で。

おまけに、よく男子に混じって遊んでいるせいか、言葉遣いも――いや、言葉遣いだけではなく動き自体も荒くて騒々しいと両親に怒られてばかりなのだから。