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第一部 Side 永宮 真紀

彼女の父親②

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「ほら、いつまでも外にいないで早く入れ」

風香の腕を乱暴に掴み、無理やり家に引きり込もうとする風香のお父さん。

風香は、まるで助けを求める様な――涙を溜めた瞳でこちらに視線を向けていた。

「瀧川さんっ!」

そんな彼女を放って置けなくて、私は思わず彼女の――父親に掴まれていない方の手を握る。

そうして、なんとか彼女を元気づけようと、微笑んでみせた。

「大丈夫!私がいるから!何かあったらいつでも言って!私が必ず瀧川さんの力になるから!」

すると、私の隣で――私の母も、そっと優しく風香の頭を撫でる。

「そうよ。いつでも、うちにいらっしゃい。遠慮なんてしなくていいからね。おばさん、待ってるから」

私達の言葉に、風香は泣きながら何度も頷いて見せる。

私は、そんな彼女が同い年ながらもなんだかとてもいじらしく思えて――。

彼女の手を握ったまま、こう言葉をかけた。

「私達は今日から友達……ううん、親友だよ!いつでも味方になるからね、風香!」

「親友……。私、お友達が出来るのなんて初めて……。凄く嬉しい!ありがとう、真紀ちゃん!」

そうはにかんだ様な笑みを浮かべながらも、父親に引き摺られる様にして家の中に姿を消す風香。

閉ざされた重い鉄の扉を見つめながら、当時の私は、

(風香は絶対に私が守ってあげないと!)

と、固く決意していた。
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