転生悪役令嬢は双子執事を護りたい～フィギュア原型師は推しの為なら異世界生活も苦じゃありません！～

この世界の危機⑤

「で？それで……私には何をしろっていうの？」

私はサイフォを真っ直ぐに見つめたまま、そう問いかける。

と、サイフォは真剣な表情でこう言った。

「君には、聖女の肉体から偽物の聖女の魂を追い出して、捕まえてほしいんだ」

「え」

それはかなりやばそうな予感がするのだけど……。

そんな気持ちを込め、私はややジト目になりながらもサイフォを見つめ返す。

私の視線を受け、表情をかなり申し訳なさそうなものへと変化させるサイフォ。

彼はその、非常に申し訳なさそうな表情を浮かべたまま、私にこう告げた。

「聖女を倒せとは言わないよ。ただ、あの聖女の肉体から、今中に入っている偽物の魂を追い出し、捕獲するだけでいいんだ」

「いや、でも……捕獲するだけって言うけど……」

相手は、「あの」最強の聖女なのだ。

アプリ上では、確かに私ーーサシャも魔力は強く、魔法も得意な人間だった。

しかし、それでも、だ。

結局、ストーリー上ではサシャは聖女には敵わず、最後には先に死んだ双子の後を追って自害してしまったのである。

今の私はそのサシャなのだ。

（捕獲も何も、追い出すこと自体難しいと思うのだけど）

正直、聖女に本気を出されたら私が勝てる見込みなんて一切ない。

と、そんな私に向かってサイフォがやんわりと微笑んだ。

「なので、私も対策をしてあるんだよ」