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2人を護るための戦い②
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しかし、先程まで少年を踏んでいた男が私の両親に怒りに燃えた瞳を向けて来た。
「あぁ?勝手に人の家に入って来て何言ってんだ?貴族だかしらねぇが、子供は親の所有物なんだよ!どうしようと俺の勝手だろうが!なんなら、コイツはぶっ殺してやる!」
そう叫ぶや、壁に持たれている方の少年に向かって猛然と駆け寄る男。
けれど、
「そんな悍ましいことはさせません!」
母が凛とした声をあげるや、物に命を与える魔法を放つ。
そうして、男性の足元に転がっていた縄に命を宿した私の母。
すると、縄は蛇の様に蠢くや、鮮やかに男の足を取り、彼を転ばせてみせた。
「いってぇ!!!ふざけんじゃねぇぞ!!」
無様に床を這いずりながら、それでも尚、吠え立ててくる男。
次の瞬間、男は床に落ちていた古びたナイフを拾い上げるや、それを思い切り投げつけてきた。
ほんの一瞬の、誰も止める間もなかった出来事。
「ぅっ……!」
男が投げたナイフは真っ直ぐに空を切り、壁に持たれていた少年の胸に深々と突き刺さる。
少年の顔色はどんどん白くなり、彼の服はどんどん赤に染まっていった。
(な、んで……?!どうして……?!)
完全に間に合ったと思っていたのにーー!
私は、何もできなかった自分に歯噛みする。
(運命は……どうしても彼らを殺したいっていうの?!なら、私は抗ってみせる!どんな運命とだって戦ってみせる!私が彼らを生かし、幸せにしてみせるわ……!)
「あぁ?勝手に人の家に入って来て何言ってんだ?貴族だかしらねぇが、子供は親の所有物なんだよ!どうしようと俺の勝手だろうが!なんなら、コイツはぶっ殺してやる!」
そう叫ぶや、壁に持たれている方の少年に向かって猛然と駆け寄る男。
けれど、
「そんな悍ましいことはさせません!」
母が凛とした声をあげるや、物に命を与える魔法を放つ。
そうして、男性の足元に転がっていた縄に命を宿した私の母。
すると、縄は蛇の様に蠢くや、鮮やかに男の足を取り、彼を転ばせてみせた。
「いってぇ!!!ふざけんじゃねぇぞ!!」
無様に床を這いずりながら、それでも尚、吠え立ててくる男。
次の瞬間、男は床に落ちていた古びたナイフを拾い上げるや、それを思い切り投げつけてきた。
ほんの一瞬の、誰も止める間もなかった出来事。
「ぅっ……!」
男が投げたナイフは真っ直ぐに空を切り、壁に持たれていた少年の胸に深々と突き刺さる。
少年の顔色はどんどん白くなり、彼の服はどんどん赤に染まっていった。
(な、んで……?!どうして……?!)
完全に間に合ったと思っていたのにーー!
私は、何もできなかった自分に歯噛みする。
(運命は……どうしても彼らを殺したいっていうの?!なら、私は抗ってみせる!どんな運命とだって戦ってみせる!私が彼らを生かし、幸せにしてみせるわ……!)
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