転生悪役令嬢は双子執事を護りたい～フィギュア原型師は推しの為なら異世界生活も苦じゃありません！～

急いで

どうやら私は熱中しすぎて、徹夜で双子のフィギュアを作っていたらしい。

（でも、これをメーカーさんに見せて……上手く気に入って貰うことができたら……！）

そうしたら、双子のフィギュア発売が現実になりーー彼らのファンも増え、彼らを忘れる人もぐっと減るかもしれない。

（何より、ファンが増えたらサービス終了も無くなったり……彼らの悲しい結末を、運営さんが変えてくれるかも……！）

そうなればなんて幸せなことだろう。

私はすでに作っておいた販売用のフィギュアを丁寧に箱に詰め、更に双子にフィギュアも箱詰めすると、それを壊れない様スーツケースの中に詰める。

そうして、シャワーを浴び、服を着替えると、私はスーツケースを引いて家を後にした。

いつもより足取りが軽く感じるのはーーもしかしたら、双子の運命が変わるかもしれないからだろうか。

私はとても幸せな気持ちで、待ち合わせ場所のオフィスに到着した。

けれど、約束の時間より少し早かったため、オフィスビルの1階ーーその外にあるカフェを利用し、約束の時刻まで時間を潰すことにした私。

（メーカーさんがこのフィギュアを気に入って……どうか、彼らの悲しい運命が変わりますように。そして、2人が少しでも幸せになれますように）

私はそう願いを込めながら、運ばれてきたショートケーキとカフェラテを口にする。