Switch！〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜

比翼の戦い⑤

糸に全身を絡められ自由を失い、尾からは大量の血を流して咆哮ほうこうをあげる魔獣イグナシオ。

そんな魔獣イグナシオに、五道は地獄の漆黒の焔を纏った刀を突きつけ、静かにこう告げた。

「これで終しまいだ、イグナシオ」

同時に、五道は素早く前方――正面から駆けていく。

「長きに渡るてめぇとの因縁……ここで、終止符を打つ！」

そう告げるや、イグナシオの人間体の胸へと勢いよく刀を突き立てる五道。

だが、イグナシオは必死に両手で刀を押さえ、これ以上深く刺されることを阻止して来る。

（僕も五道の為に何かしたい！彼を助けたい……！）

そんな気持ちに突き動かされ、僕も両手を伸ばすと、必死に五道の両腕を支える。

すると……今まで解放した魂達が、僕達の元に集まり始めたではないか。

そうして、1人また1人と、五道の手に自らの手を重ねて来る魂達。

「ありがとよ……！百人力だ……！」

魂達に微笑みかけるや、それをすぐに不敵な笑みに変え、一気に刀をイグナシオの胸へと沈める五道。

「悪人よ……てめぇに裁きは必要ねぇ！無間むげんの地獄へ堕ちやがれ！！！」

叫ぶ様にそう告げるや、五道は刃を大きく横に薙ぎ払った。

瞬間、魔獣イグナシオの体が大きく引き裂かれ、光に包まれていく。