Switch！〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜

比翼の戦い②

「わかった。任せろ！」

目にも止まらぬ速さで刀を抜くや、イグナシオの心臓目掛けて背後から貫こうと試みる五道。

けれど、間一髪――僕らの動きを察知したイグナシオが跳躍し、ギリギリのところで刃を交わした。

しかし、よく見ると五道の刃が掠った部分が光っているではないか。

目を凝らして見てみると、それは魂だった。

どうやら、イグナシオが今まで食し、彼の体内に満たされた魂が、切られた傷から外へ出て来ようとしているのだ。

（もしかしたら……上手く犠牲者の魂だけ抜く事が出来れば、何か変わるかもしれない）

そう考えた僕は、あえてあの子の魂がある胸ではなく、白く光る球体――人間の物であろう魂が多く詰まっている腕を切る様、五道に指示を出した。

僕の提案に頷き、イグナシオの腕に斬りかかる五道。

彼の刃が大きく腕を切り裂いたその瞬間――傷口から、大量の魂が飛び出した。

まるでたんぽぽの綿毛が宙に舞う様に、空へと解き放たれ自由になる魂達。

やがて複数の魂達は、それぞれ還る場所があるのか、空をバラバラに動き出す。