Switch！〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜

五道と岳

「そっか。お嬢ちゃんがそういうなら、仕方ねぇな」

そう告げるや、なんと五道はその場にどっかりと腰を下ろしてしまったのである。

完全に、寛くつろぐ体勢だ。

と、僕にも座る様に促してくる五道。

彼は、僕が座ったのを確認するや、少女の方を見つめながら、口を開いた。

「なぁ？こう見えて、俺にもあるんだぜ。お嬢ちゃん程じゃないかもしれねぇが……思わず世界の全てを恨んで……この世から消えたくなっちまう様なことが、さ」

五道の言葉に、少女は一瞬意外そうな表情を向ける。

けれど、彼女は直ぐにまた、暗く陰鬱いんうつな表情に戻ると、視線を床に落とした。

だが、少女のそんな様子など気にすることなく、彼はゆっくりと語り始める。

――己の身に、遥か昔に起きた哀しい出来事を。

まるで、少女に語って聞かせているかの様に……。