Switch！〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜

囚われの魂④

「死にたいなんて、一体何故……？」

僕は、目の前で涙すら浮かべている少女に、そう問いかける。

と、彼女は僕達への怒りに満ちた表情を崩さぬまま、こう答えた。

「……そんな言葉が言えるってことは、きっと、あなたは幸せな……人生が苦しくない人ね。とても恵まれた人だわ。そんな人にはきっと、私が何を話してもわからないわよ」

まるで、世の中の全てを諦めた様な昏くらい瞳でそう話す少女。

その瞳があまりに痛々しくて、僕は彼女の両手を優しく握りしめた。

「そんなの……話してみなければ分からないじゃないか。それに、僕は君を理解したいんだ。見たところ、君は自分が異世界にいるのを理解した上で、現実の世界に帰るのを嫌がっている様に見える。その理由を、ちゃんと聞きたいんだ」

少女の瞳を見つめながら、そう話しかける僕。

（この哀しい瞳の少女のことを、少しでも理解したい）

その気持ちは、紛れもなく本物だ。

だが、少女は「あなたにはわからない」の一点張りで、全く理由を話そうとしない。

（困ったな……）

このまま無理に連れ帰ることも、きっと五道ならば出来るだろう。

でも、きっと、それでは彼女の為にならない。

彼女の心の闇を晴らせなければ、何も変わらない。

こんな状態の彼女を無理やり現代に連れて帰っても、きっとまた、同じ魂交換の餌食になってしまうだろうから――。

（そう……それじゃ、駄目なんだ）

彼女の魂だけではなく、彼女の心も救わなくては――。

（でも、まともに話すらしてくれないのに、一体どうやって……？）

すると、立ち止まり悩んでいた僕の隣で、五道が動いた。