Switch！〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜

現実への帰還

数時間後。

来た時と同じ井戸を通り、現世へと帰還した僕と五道転輪王。

ちなみに、五道転輪王は既に最初に出逢った時と同じ着物姿に戻ってしまっている。

その後、空を駆け――神社に到着した僕達がうちの鳥居を一歩くぐった瞬間、五道転輪王の体が勢いよく吹き飛ばされた。

「ちょいとあんた！うちの悠里に何をしてくれたんだい？！理由次第じゃ生きて返さないから覚悟しな！」

地面に叩き付けられた五道転輪王を見下ろし、威勢良くそう啖呵たんかを切るのは、天照様だ。

彼女は、今は僕の家族や他の皆にも見える様、うちの神社にあるご神体を依代よりしろに人間体として顕現けんげんしているらしい。

豊かな長い黒髪はそのままに、飾り気のない白いTシャツとジーパンを履きこなす姿は、最早モデルの様ですらある。

と、天照様の横から更に2人、顕現した神が姿を現した。

「どなたか知りませんが、これは明らかな犯罪です。この狼藉者ろうぜきものはこの場で斬り捨ててしまいましょう、姉上」

涼しい顔で物騒なことを宣うのは、人間体になった月読様だ。

今は黒髪だが、爽やかな藤色のブラウスに白いスラックスがなんともよく似合っている。

まるで、どこかの国の王子様の様だ。