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菜乃

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あれから、どれ位の時が経ったのだろう。

目を開けるとーー私の視界には、見慣れない木の天井が飛び込んできた。

起きあがろうと体を動かすと、至る所から痛みが襲ってくる。

「……そうか……私は、あの時花子さんに水の弾丸で攻撃されて……」

自分に起きた出来事を確認する様に、そう呟く私。

ゆっくりと体を起こし、辺りを見回してみるとーーそこは、とても和風な造りの部屋だった。

私が寝かされていた布団の周り等は、なんと几帳きちょうが立てられているのである。

(平安時代に迷い込んでしまった様な部屋だな……)

一体、今自分は何処にいるのか。

そう不安に思っていると、ガサァッという派手な音がして、この部屋の扉の代わりであったであろう御簾みすが開けられる。

そこから覗いた顔はーー。

「雄英!!良かった!!目を覚ましたんだな!!」

私が一番守りたい、最愛の兄の顔だった。

恐らく私の包帯を替えにきたのだろう兄は、手元にあった替えの包帯の束を投げ出すと、勢いよく私に飛びついてくる。

「また、心配をかけてしまったな、兄さん」

正直、まだ傷が治りきっていない為、全力でしがみつかれると体に痛みが襲ってくるがーーそれでも、この兄から与えられるものは、痛みですら甘美に思えるから不思議だ。

私は、兄の背中に腕を回すと、その腕にそっと力を込めた。
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