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吸血鬼さんin学校⑭

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「うん。だからね、リントを襲った悪い奴については、改めて家で話をしたいの。お兄ちゃんも交えてさ。うちのお兄ちゃん、ああ見えて元生徒会長だし、かなり頭はいい方だと思うんだよね。絶対役に立つよ。それに、リントも……此処に置いて行くより、うちに連れて行ってあげた方が安全だと思うし」

 「真由お姉さん、ありがとう!」

  私の言葉に瞳を輝かせ、嬉しそうに周りを飛び回るリント。

  リルゼイも、そんなリントの様子に目を細めると彼の頭を優しく撫でてやる。

 (良かった。私が帰るまで、二人で居ても大丈夫そうだね)

  その姿に安心すると、私は二人に手を振り、再度体育館に向かおうとする。

 「じゃぁ、作戦会議はお兄ちゃんの帰ってくる夕練後……ご飯の後ってことで決定ね!」

  それから念の為、二人に思い付いた事を言っておく事にした。

 「あと、吸血鬼と精霊が居るなんてバレたらどうなっちゃうかわかんないからね。あんまり外をうろうろしないでよ?」

  私が踵を返した瞬間、何かあたたかくて柔らかいものが唇に触れる。

 「~~っ?!」

  それは、リルゼイの唇だった。

  驚き、羞恥、照れ――ほんの少しの喜び。

  様々な感情が頭の中を駆け巡り、私は顔を真っ赤に染めたまま倒れそうになる。

  彼は私を軽々と抱き上げると、近くにあったベンチの上にふわりと下ろす。

  そして、耳元でそっと囁いた。

 「先程の発言だが。心配してくれてありがとう、真由。この身体になってから、誰にも心配等されたことがなくてな。だから、君の心遣いがとても嬉しかった。感謝しているよ、真由。私は益々、君を手に入れたくなった」

 「手に入れって…えぇぇっ?!」

  彼の発言に私が大赤面をし奇声をあげた瞬間、愉快そうに笑ったまま、リルゼイの姿が風に溶けて薄くなっていく。

 「はははっ、君は本当に見ていて飽きないなぁ。では、私は君の言う通り、大人しく家で待っているとしよう。マイレディ」

 「真由お姉さん、早く帰ってきてね!」

  そう告げるや、完全に空気に溶け込み、姿が見えなくなる二人。恐らく、本当に私の家に帰ったのだろう。

  残された私はと言うと――無駄に火照ったままの頬の熱を少しでも鎮める為、一人手洗い場へと全速力で走って行くのであった。

 「もうっ! あの馬鹿阿呆居候! ヘタレ、変態、エロ吸血鬼ーっ!!」
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