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騒がしい未来へ⑤

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 すると、シーレ王子は愉快そうな笑みを浮かべる。

 「ああ。これから始める、残りの68柱を集める為の準備だ!」

 「えぇぇぇぇ?!これから始めるって……本気で72柱全員集めるつもりなのか?!」

 シーレ王子の言葉に動揺を隠しきれない切夜。

 しかし、シーレ王子は余裕綽々な笑みを浮かべたまま、大きく頷く。

 「以前言っただろう?お前達が持つその指輪はソロモンのもので……本来、我ら72柱はその指輪を受け継ぐ者と契約し、人の世に安寧をもたらさなければいけないのだ」

 そこまで告げると、大きく息を吐くシーレ王子。

 次いで、切夜を真っ直ぐに見つめるや、シーレ王子はこう告げた。

 「――その為にも、先ずはこの人間界の中に紛れ込んだ残り68柱の悪魔を探しだし、全員と契約して貰うぞ、小僧!」

 「いぃぃ?!そんなぁ~!!」

 シーレ王子の無茶振りに近い命令に、切夜は悲鳴に近い声を上げる。

 が、そんな切夜を見て、より愉快そうにシーレ王子は目を細めた。

 「黙れ、ぴーぴーと文句を言うな。その為に、この館まで用意したのだからな。ほら、そうと決まれば、早速……悪魔の気配がしないか町をパトロールしに行くぞ!ついて来い、小僧!68柱全員とお前達が契約し終わるまで、俺様は絶対にお前から離れてやらないからな!」

 「えええ?!何でこんなことに~!」

 悲鳴じみた声を上げる切夜を見て、苦笑する咲子とマルバス。

 アンドロマリウスは嘲笑を浮かべ、陸人と剛は慌てて切夜に駆け寄っている。
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