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疑惑の女優③

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 切夜が目を閉じたまま――そんな風に記憶の糸を辿っていると、不意にシーレ王子から声がかけられた。

 「もう着くぞ」

 「へっ?」

 シーレ王子の言葉に慌てて目を開ける切夜。

 そこは、まさに星川芳美のSNSに載っていた通りの場所――日本科学未来館だった。

 「本当に、一瞬で着いたな……」

 三鷹みたかにあった自宅からだと、電車ならば1時間近くかかるというのに――。

 「やっぱ、悪魔の力って凄いんだ……」

 半ば感心したようにそう呟く切夜に――能力を褒められ、悪い気はしないのかふっと笑みを浮かべるシーレ王子。

 しかし、そんな彼らに陸人がこう声をかける。

 「拝君!シーレ王子!先ずは急いで星川芳美さんを探さなくちゃ!」

 「ああ、そうだな!」

 陸人の言葉に頷く切夜達。

 だが、彼らは――先ず、星川芳美を探す前に、マルバスに写真を見せ、彼を星川芳美の芸能事務所の社長に変身させる。

 これは、星川芳美に逢った時、先ず不審者として警戒されるのを防ぐ為だ。

 そうして、館内で星川芳美を探し回る切夜達。

 と、彼らが探し始めてから十数分後――。

 ちょうど撮影が終わったのか――マネージャーを伴い、階段を降りてきた彼女と切夜が鉢合わせする。

 「あら?社長……その子供は?」

 社長(に変装したマルバス)と、彼と一緒に現れた切夜の姿を見て、きょとんとした表情を浮かべる星川芳美。

 しかし、彼女の質問に答えることはなく、切夜は口を開いた。

 「星川芳美さんですよね?大切なお話があります!」
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