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一筋の光を求めて

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 シーレ王子の返答に愕然とする切夜。

 (……散々不幸な目に遭わされて来て……最後は魂を食われて死ぬなんて、可哀想過ぎるじゃないか!)

 ――「倒す」んじゃなく、助けられるなら「救い」たい!

 新たにそう決意する切夜。

 そうして、彼は仲間内達の方を振り返ると――自分の決意を言葉にして告げた。

 「復讐をして、口裂け女は満足かもしれない。けど……でも、やっぱり、散々不幸な目に遭った上に、魂が食われて消滅するなんて間違ってるよ!俺は、復讐も止めたいし、口裂け女も助けたい!皆、力を貸してくれないか?!」

 「勿論!」

 「任せてよ!」

 切夜の言葉に力強く頷いてみせる剛と陸人。

 一方、シーレ王子はそんな切夜に正面から向かい合った。

 「小僧、分かっているのか?復讐を止めるということは、あのアンドロマリウスを完全に敵に回すということだぞ?」

 シーレ王子と向かい合い、決して目を逸らさぬまま深く頷く切夜。

 「分かってる。でも、助けたいんだ」

 そんな切夜の瞳を真っ直ぐに見つめたまま、シーレ王子は更に言葉を続ける。

 「例えば……口裂け女はこのまま放っておけば、勝手に復讐を遂げ、死亡し……彼女が死亡した時点で、恐らくお前の父親は意識を取り戻すだろう。基本的には、呪いや術の類いは使った者が死ねば消えるからな」

 ――それでも、アンドロマリウスと敵対するという危険をおかしてまで、お前は口裂け女を救いたいのか?

 切夜の心の奥にまで問いかけてくるような、深い響きをもったシーレ王子の声が――切夜の胸に突き刺さった。
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