87 / 117
一筋の光を求めて
しおりを挟む
シーレ王子の返答に愕然とする切夜。
(……散々不幸な目に遭わされて来て……最後は魂を食われて死ぬなんて、可哀想過ぎるじゃないか!)
――「倒す」んじゃなく、助けられるなら「救い」たい!
新たにそう決意する切夜。
そうして、彼は仲間内達の方を振り返ると――自分の決意を言葉にして告げた。
「復讐をして、口裂け女は満足かもしれない。けど……でも、やっぱり、散々不幸な目に遭った上に、魂が食われて消滅するなんて間違ってるよ!俺は、復讐も止めたいし、口裂け女も助けたい!皆、力を貸してくれないか?!」
「勿論!」
「任せてよ!」
切夜の言葉に力強く頷いてみせる剛と陸人。
一方、シーレ王子はそんな切夜に正面から向かい合った。
「小僧、分かっているのか?復讐を止めるということは、あのアンドロマリウスを完全に敵に回すということだぞ?」
シーレ王子と向かい合い、決して目を逸らさぬまま深く頷く切夜。
「分かってる。でも、助けたいんだ」
そんな切夜の瞳を真っ直ぐに見つめたまま、シーレ王子は更に言葉を続ける。
「例えば……口裂け女はこのまま放っておけば、勝手に復讐を遂げ、死亡し……彼女が死亡した時点で、恐らくお前の父親は意識を取り戻すだろう。基本的には、呪いや術の類いは使った者が死ねば消えるからな」
――それでも、アンドロマリウスと敵対するという危険を冒してまで、お前は口裂け女を救いたいのか?
切夜の心の奥にまで問いかけてくるような、深い響きをもったシーレ王子の声が――切夜の胸に突き刺さった。
(……散々不幸な目に遭わされて来て……最後は魂を食われて死ぬなんて、可哀想過ぎるじゃないか!)
――「倒す」んじゃなく、助けられるなら「救い」たい!
新たにそう決意する切夜。
そうして、彼は仲間内達の方を振り返ると――自分の決意を言葉にして告げた。
「復讐をして、口裂け女は満足かもしれない。けど……でも、やっぱり、散々不幸な目に遭った上に、魂が食われて消滅するなんて間違ってるよ!俺は、復讐も止めたいし、口裂け女も助けたい!皆、力を貸してくれないか?!」
「勿論!」
「任せてよ!」
切夜の言葉に力強く頷いてみせる剛と陸人。
一方、シーレ王子はそんな切夜に正面から向かい合った。
「小僧、分かっているのか?復讐を止めるということは、あのアンドロマリウスを完全に敵に回すということだぞ?」
シーレ王子と向かい合い、決して目を逸らさぬまま深く頷く切夜。
「分かってる。でも、助けたいんだ」
そんな切夜の瞳を真っ直ぐに見つめたまま、シーレ王子は更に言葉を続ける。
「例えば……口裂け女はこのまま放っておけば、勝手に復讐を遂げ、死亡し……彼女が死亡した時点で、恐らくお前の父親は意識を取り戻すだろう。基本的には、呪いや術の類いは使った者が死ねば消えるからな」
――それでも、アンドロマリウスと敵対するという危険を冒してまで、お前は口裂け女を救いたいのか?
切夜の心の奥にまで問いかけてくるような、深い響きをもったシーレ王子の声が――切夜の胸に突き刺さった。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
真っ白なネコのぬいぐるみププが自分の色を見つけるまでのおはなし
緋島礼桜
児童書・童話
やあみんな、ボクの名前はププ。真っ白色のネコのぬいぐるみさ!
ぬいぐるみはおしゃべりなんかしないって? そう、ボクはご主人であるリトルレディ、ピリカの魔法でおしゃべりしたり動けたりできるようになったんだ。すばらしいだろう?
だけど、たった一つだけ…ボクにはゆずれないもの、頼みたいことがあったんだ。
それはなんだって? それはね、このボクのお話しを読んでくれればわかるさ。
笑いあり涙ありのステキな冒険譚だからね、楽しめることは間違いなしさ!
+++
此方は小説家になろうにて投稿した小説を修正したものになります。
土・日曜日にて投稿していきます。
6話完結の短めな物語なのでさくっと読んでいただけるかと思います。ヒマつぶし程度でご一読いただければ幸いです。
第1回きずな児童書大賞応募作品です。
【完結済み】破滅のハッピーエンドの王子妃
BBやっこ
児童書・童話
ある国は、攻め込まれ城の中まで敵国の騎士が入り込みました。その時王子妃様は?
1話目は、王家の終わり
2話めに舞台裏、魔国の騎士目線の話
さっくり読める童話風なお話を書いてみました。
フラワーキャッチャー
東山未怜
児童書・童話
春、中学1年生の恵梨は登校中、車に轢かれそうになったところを転校生・咲也(さくや)に突き飛ばされて助けられる。
実は咲也は花が絶滅した魔法界に花を甦らせるため、人の心に咲く花を集めに人間界にやってきた、「フラワーキャッチャー」だった。
けれど助けられたときに、咲也の力は恵梨に移ってしまった。
これからは恵梨が咲也の代わりに、人の心の花を集めることが使命だと告げられる。
恵梨は魔法のペンダントを預けられ、戸惑いながらもフラワーキャッチャーとしてがんばりはじめる。
お目付け役のハチドリ・ブルーベルと、ケンカしつつも共に行動しながら。
クラスメートの女子・真希は、恵梨の親友だったものの、なぜか小学4年生のあるときから恵梨に冷たくなった。さらには、咲也と親しげな恵梨をライバル視する。
合唱祭のピアノ伴奏に決まった恵梨の友人・奏子(そうこ)は、飼い猫が死んだ悲しみからピアノが弾けなくなってしまって……。
児童向けのドキワクな現代ファンタジーを、お楽しみいただけたら♪
イケメン男子とドキドキ同居!? ~ぽっちゃりさんの学園リデビュー計画~
友野紅子
児童書・童話
ぽっちゃりヒロインがイケメン男子と同居しながらダイエットして綺麗になって、学園リデビューと恋、さらには将来の夢までゲットする成長の物語。
全編通し、基本的にドタバタのラブコメディ。時々、シリアス。
ミズルチと〈竜骨の化石〉
珠邑ミト
児童書・童話
カイトは家族とバラバラに暮らしている〈音読みの一族〉という〈族《うから》〉の少年。彼の一族は、数多ある〈族〉から魂の〈音〉を「読み」、なんの〈族〉か「読みわける」。彼は飛びぬけて「読め」る少年だ。十歳のある日、その力でイトミミズの姿をしている〈族〉を見つけ保護する。ばあちゃんによると、その子は〈出世ミミズ族〉という〈族《うから》〉で、四年かけてミミズから蛇、竜、人と進化し〈竜の一族〉になるという。カイトはこの子にミズルチと名づけ育てることになり……。
一方、世間では怨墨《えんぼく》と呼ばれる、人の負の感情から生まれる墨の化物が活発化していた。これは人に憑りつき操る。これを浄化する墨狩《すみが》りという存在がある。
ミズルチを保護してから三年半後、ミズルチは竜になり、カイトとミズルチは怨墨に知人が憑りつかれたところに遭遇する。これを墨狩りだったばあちゃんと、担任の湯葉《ゆば》先生が狩るのを見て怨墨を知ることに。
カイトとミズルチのルーツをたどる冒険がはじまる。
左左左右右左左 ~いらないモノ、売ります~
菱沼あゆ
児童書・童話
菜乃たちの通う中学校にはあるウワサがあった。
『しとしとと雨が降る十三日の金曜日。
旧校舎の地下にヒミツの購買部があらわれる』
大富豪で負けた菜乃は、ひとりで旧校舎の地下に下りるはめになるが――。
訳あり新聞部の部長が"陽"気すぎる
純鈍
児童書・童話
中学1年生の小森詩歩は夜の小学校(プール)で失踪した弟を探していた。弟の友人は彼が怪異に連れ去られたと言っているのだが、両親は信じてくれない。そのため自分で探すことにするのだが、頼れるのは変わった新聞部の部長、甲斐枝 宗だけだった。彼はいつも大きな顔の何かを憑れていて……。訳あり新聞部の残念なイケメン部長が笑えるくらい陽気すぎて怪異が散る。
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる