悪魔図鑑～でこぼこ3兄妹とソロモンの指輪～

儀式の秘密④

 「煩いぞ、小僧」

 突如叫び出した切夜に対し、至極煩わしそうにそう告げるシーレ王子。

 しかし、切夜はシーレ王子を指差したまま続けた。

 「夢に出てきた、愛菜に妙な王冠をかぶせようとしてきた変態！」

 「なっ？！この王子たる俺様に向かって変態とは失礼な！！」

 今度は、切夜の余りに無礼な台詞に怒ったシーレ王子がそう怒声を上げる。

 「変態は変態だろ！！人の妹におかしなもんかぶせようとしやがって！」

 しかし、切夜も負けることなく――より大きな声を出してシーレ王子を詰め始めた。

 と、このままでは埒らちがあかないと悟ったのか、マルバスがシーレ王子と切夜の間に入る。

 「まぁまぁ、2人とも落ち着かれよ。今は仲間内で争いをしている場合ではないのでは？」

 マルバスの放った正論に、互いに言いたいことを飲み込む切夜とシーレ王子。

 そうして、切夜は――数度深呼吸をして自らを落ち着かせると、シーレ王子とマルバスに視線を向けた。

 「なぁ？聞かせてくれ。昨日見た夢や、昼間の指輪……それに、さっきの復讐の悪魔も。俺達の周りで、一体何が起きているんだ？」