上 下
76 / 117

儀式の秘密③

しおりを挟む
 ――『ソロモンの指輪』。

 「昔、建設中の神殿が思うように進まず、困り果てたソロモン王は、山の高く突き出た岩に登り、神に祈った。すると突然、まばゆい光と共にエメラルドの翼を持つ大天使ミカエルが現れ、黄金に輝く指輪を差し出した」

 ――その指輪が「ソロモンの指輪」らしい。

 「このソロモン王って、実在の王様らしいよ。で、奥さんもいてね。奥さんはシヴァって名前なんだって。奥さんは妖精を使役出来る指輪を持ってたみたいだね」

 悪魔図鑑を読みながらの陸人のその言葉に――切夜は頭の中で、離れていた点と線が繋がっていくのを感じていた。

 そうして、切夜はシーレ王子を見上げるや、こう問い掛ける。

 「……なぁ?もしかして、昨日見た夢……あれも何か関係があるのか?」

 ――ずっと気になっていた、あの「愛菜が冠をかぶせられそうになった夢」について、勇気を持ってそう問い質してみる切夜。

 と、そんな切夜を……シーレ王子は軽く睨み付けてきた。

 「全く……あの時はよくも邪魔をしてくれたな、小僧」

 シーレ王子のその表情と台詞に、切夜は――今まではややおぼろげだった夢の内容をはっきりと思い出す。

 そして――。

 「あ、あ、あーーーーー!!!!お前、あの時のっ!!!!」

 切夜はシーレ王子を指差し、大きな声で叫んでいた。
 
しおりを挟む

処理中です...