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復讐の悪魔アンドロマリウス②

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 「……なんか、そこだけ聞くと正義の味方みたいな悪魔だな」

 苦虫を噛み潰したような表情でそう告げる切夜。

 実は、口裂け女の噂話を聞いた時から感じていたのだが――、

 (あれだけ酷い目にあったら、そりゃ復讐を考えても仕方ないんじゃないか?)

 そんな思いが、切夜の頭の中の何処かでくすぶっていた。

 もし、自分や――自分の妹が同じ目に遭わされたとしたら、切夜だって間違いなく復讐の道を選んだことだろう。

 だからこそ、今……僅かだが切夜の中に迷いが生まれてしまっているのだ。

 それは――「彼女の復讐を止めるのは、本当に正しいことなのか」という迷い。

 それが、アンドロマリウスの能力を改めて知った切夜の胸をざわつかせているのだ。

 (――例えば、父さんを助ける方法を聞くだけなら、彼女が復讐を遂げてからでも良いんじゃないだろうか?)

 そんな、同情に似た考えが切夜の中で頭をもたげてくる。
 
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