悪魔図鑑～でこぼこ3兄妹とソロモンの指輪～

口裂け女③

 (今、あいつを逃がしたら……父さんを目覚めさせる方法が聞けないじゃないか！！)

 目の前で起きる出来事に、頭は半分以上混乱したままだが――それでも父親を目覚めさせる方法を聞くため、切夜が走り出す。

 しかし、寸でのところで蛇の群れに完全に飲み込まれてしまう口裂け女。

 「ふざけるな！！ずるいぞ！！逃げるのかよ！！父さんを返せ！！」

 切夜は手を伸ばすと、躊躇わず蛇を掻き分け、口裂け女を引きずり出そうとした。

 だが――口裂け女を飲み込んだ蛇の群れが、急に目映く光り始める。

 切夜を抱えるや、蛇の群れから距離を取るシーレ王子。

 マルバスも剛と愛菜をくわえて、蛇の群れから距離を取った。

 すると、そんな彼らの目の前で――美しい程に発光したまま、するすると剥がれ落ちていく蛇達。

 彼らは、1匹、また1匹と……まるで巻いていた包帯が取れるように剥がれ落ちていく。

 そうして、最後の1匹が剥がれ落ちた時――そこに姿を現したのは、今までとは全く様相の異なる口裂け女であった。