上 下
55 / 117

悪魔と悪夢の攻略法④

しおりを挟む
 ――『悪魔シーレ』。

 「セィレ」や「セェレ」とも呼ばれる彼は、悪魔図鑑によると「26の軍団を支配する地獄の強大な王子である」のだそうだ。

 ちなみに、「好きな場所に移動したり、物や人を転移させる能力を持っており、瞬きする間に――人や物を世界中のどこにでも運べる能力」を持っているらしい。

 ここまで読んだ切夜と剛は、ふと顔を見合わせる。

 (好きな場所に移動する能力……)

 胸の中でそう呟く切夜。

 すると、剛も同じことを考えていたのか――真剣な瞳で切夜を見つめながら、大きくゆっくりと頷いてきた。

 「間違いないよ、切夜。きっと……昼間のあの男の人が、シーレ王子だったんだ」

 「……ああ。きっと……いや、十中八九そうだろうな。だから、陸人もそう思って……「シーレ王子にお願いしたら」って言ってたんだ」

 切夜も剛の言葉に頷く。

 そうして、そこまで考えた2人は「ある1つの考え」に思い至った。

 「ねぇ、切夜?もしかしたら……シーレ王子は、この状況をどこかで見てるんじゃないかなぁ?」

 「剛もか?俺もそう思った」

 「だよね!」

 「おう!」

 再度、互いに頷き合う切夜と剛。

 というのも、2人がこう考えたのには「ある理由」があった。

 それは、昼間――「口裂け女に襲われた時」と「マルバスに襲われた時」のシーレ王子の対応の違いにあったのだ。
しおりを挟む

処理中です...