幼い少女が狼と出会ったお話

大神 快虎

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玄関を出てすぐ、らいおっとは私を抱きしめた。

「よかった…本当に良かった…」

わーんと、らいおっとは泣いていた。すごく泪を流して。

「私も、約束、破っちゃった…ごめんなさい」

「いや、俺が悪いんだ。アイナをよく見ていなかった…。本当にごめんな」

私も悲しくなって泪を流す。お昼の真っただ中、二人抱き合って…。



5分くらい泣いていたと思う。

「ふ…ふぅ…大人がこんなに泣いてたらいかんな。よしよしアイナ。」

私も泣きやむ。泣きすぎて疲れてしまった。
ふわぁ…と、あくびが出てしまう。

「さすがに泣きすぎて俺も眠いわ。それにしても、久々にこんなに泣いたなぁ…ハハッ」

男の人が泪を流すのは時初めて見たかもしれない。しかも、こんなに長々と。私もたくさん泣いた。でも、今までの痛いとか、怖いとかの泪ではなく、悲しい、とか胸が苦しくなるような…。自分でもよくわかんないや。でも、今は暖かい気持ちでいっぱい。なぜなららいおっとがいるから。

「目が真っ赤だぁ。映画どうする?明日にするか?」

どうしよう。見に行きたいけど疲れがすごすぎて。私は首を横に振る。また今度行けばいいと思う。映画は待ってくれるし。らいおっとは何も言わずに歩き出す。歩いているときの揺れと、背中をポンポンと叩く心地よさで、いつの間にか私は眠っていた。




どれくらい寝たのだろう…。目を覚ますと、周りは真っ暗だった。ここは、ベッドの上だ。隣にはらいおっとがぐっすり眠っている。あんなにかっこいい顔が、寝顔になった途端あほみたいな顔になる。かわいいな。ほっぺをなでなでする。このもふもふ、ほんとにたまらない。

「んっ…フフッ。くすぐったいだろ。こら」

らいおっとに頭をつかまれわしゃわしゃされる。はうう。ちょっと強引だけど、やさしさたっぷりのなでなでが好きだ。

「ふわあ~、よく寝た。今は何時だ?7時くらいか。飯でも作るかぁ。アイナも来るか?」

「行く!」

らいおっとがニカッと笑って私の手を取る。なにかお手伝いできるかな…?今日はどんなご飯かな?すごく楽しみだ。
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