62 / 62
62
しおりを挟むボイル子爵は知らない。
愛する者が増える度に幸せも増えることを知らない。
妻しか愛せないなど寂しすぎる。
俺はボイル子爵とは違う。
「と~しゃま~」
「ん?なんだい?ルーチェ」
学院を卒業してから次期公爵としての執務を与えられ、キリのいい所でちょっとした休憩をしていると母上に連れられて部屋にトコトコと入ってきた我が娘。
見ればわかる。抱っこの催促だな。
すぐに抱き上げてやる。小さい手を精一杯伸ばすもうすぐ3歳になる愛しくて可愛い我が娘ルーチェ。髪色は俺と同じ銀髪だがそれ以外はミラの幼い頃とそっくりだ。
我が公爵家で父上や母上だけでなく、ローガンやセナたち騎士団の者も、使用人も子供達に抱っこをせがまれて断れる者はいない。
いや、違うか。
「抱き癖がつくってよく聞くけれど子供の成長は早いのよ。いつまで抱けるか分からないのだから、出来る限り抱いてあげたいの。そのうち抱きたくても抱けなくなるのだから」
ミラのその意見に公爵家全体が同意した。
特にそれまで遠慮をしていたセナは喜んだ。
『私は小さいからね~。抱っこが出来なくなるのも早いと思うんだよね~』なんて言ってたな。
「か~しゃまどこ~」
「ん~母様は・・・ほら!」
庭園を5歳のレグルスがすました顔でお腹の大きなミラをエスコートしている。
「ふふふっ、レグはデュークのミニチュア版ね。」
「みーちゅ?」
「そう、ルーチェのお兄様は父様とそっくりでしょう?ミラちゃんから離れないところもそっくり」
「そっくり~」
そうなんだ。しかも俺と同じで母親のミラが大好きなんだ。
まあ俺は大人だからな、昼間はレグルスに譲ってやるが、夜だけは我が子とはいえ邪魔はさせない。
結婚して7年。
いまだに俺たちはラブラブだ。
今はミラが妊娠中で無理だが・・・代わりに毎日お腹の子に話し掛け、抱きしめて寝ている。もちろん俺の手はお腹の子に当てて・・・
ミラは毎日俺にお礼を言ってくれる。
『ありがとうデューク。私、今日も幸せだよ。』って・・・だから俺もありがとうと、幸せだとちゃんと言葉にして返す。
子供たちは可愛い。
目に入れても痛くないほど愛している。
元気でさえいてくれればヤンチャでもいいと思っている。
ライラ叔母上には感謝してもしきれない。
俺は、俺たちは幸せだ。
あとひと月もすれば3人目の子供が生まれる。
男でも女でもどちらでもいい。
さらに我が家は賑やかになるんだろうな。楽しみだな。
ライラ叔母上、俺はこれからも誓いを守るよ。
ミラを、子供たちを守り続けるよ。
たとえ死んでもライラ叔母上のように見守り続けるつもりだよ。
『ありがとう。後はお願いね』
おう!任せてくれ!
それが、俺の使命だからな・・・
~完~
☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰
これで完結となります。
最後までお付き合い下さりありがとうございました。
たくさんの応援メッセージやエールを頂きとても励みになり書き続けられました。
とても感謝しております。
本当にありがとうございました。
次作は12月初旬を予定しております。
502
お気に入りに追加
2,550
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(85件)
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】婚約破棄されたユニコーンの乙女は、神殿に向かいます。
秋月一花
恋愛
「イザベラ。君との婚約破棄を、ここに宣言する!」
「かしこまりました。わたくしは神殿へ向かいます」
「……え?」
あっさりと婚約破棄を認めたわたくしに、ディラン殿下は目を瞬かせた。
「ほ、本当に良いのか? 王妃になりたくないのか?」
「……何か誤解なさっているようですが……。ディラン殿下が王太子なのは、わたくしがユニコーンの乙女だからですわ」
そう言い残して、その場から去った。呆然とした表情を浮かべていたディラン殿下を見て、本当に気付いてなかったのかと呆れたけれど――……。おめでとうございます、ディラン殿下。あなたは明日から王太子ではありません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
「あなたは公爵夫人にふさわしくない」と言われましたが、こちらから願い下げです
ネコ
恋愛
公爵家の跡取りレオナルドとの縁談を結ばれたリリーは、必要な教育を受け、完璧に淑女を演じてきた。それなのに彼は「才気走っていて可愛くない」と理不尽な理由で婚約を投げ捨てる。ならばどうぞ、新しいお人形をお探しください。私にはもっと生きがいのある場所があるのです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
姉の婚約者であるはずの第一王子に「お前はとても優秀だそうだから、婚約者にしてやってもいい」と言われました。
ふまさ
恋愛
「お前はとても優秀だそうだから、婚約者にしてやってもいい」
ある日の休日。家族に疎まれ、蔑まれながら育ったマイラに、第一王子であり、姉の婚約者であるはずのヘイデンがそう告げた。その隣で、姉のパメラが偉そうにふんぞりかえる。
「ぞんぶんに感謝してよ、マイラ。あたしがヘイデン殿下に口添えしたんだから!」
一方的に条件を押し付けられ、望まぬまま、第一王子の婚約者となったマイラは、それでもつかの間の安らぎを手に入れ、歓喜する。
だって。
──これ以上の幸せがあるなんて、知らなかったから。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください
シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。
国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。
溺愛する女性がいるとの噂も!
それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。
それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから!
そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー
最後まで書きあがっていますので、随時更新します。
表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
母の中で私の価値はゼロのまま、家の恥にしかならないと養子に出され、それを鵜呑みにした父に縁を切られたおかげで幸せになれました
珠宮さくら
恋愛
伯爵家に生まれたケイトリン・オールドリッチ。跡継ぎの兄と母に似ている妹。その2人が何をしても母は怒ることをしなかった。
なのに母に似ていないという理由で、ケイトリンは理不尽な目にあい続けていた。そんな日々に嫌気がさしたケイトリンは、兄妹を超えるために頑張るようになっていくのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
天花 様
父はライラ以外には興味はなかったのです。
後妻に迎えたのも取り敢えずミラの世話をさせればいい程度の考えです。👊😠💢
王家に渡さなかったのもタダの意地でしょうねʅ( ・᷄֊・᷅ )ʃヤレヤレ
エルザですか⋯⋯彼女次第でしょうねᐡ๑• •๑ᐡ...💦
ありがとうございました😄😁😄💕
本当に助かりました🥰
ありがとうございます🙇♀️💦
ありがとうございます🙇♀️💦
初っ端にやらかしてたんですねΣ(*oωo艸;)!?
わざわざ返信ありがとうございました。
お手数をお掛けして申し訳ないですm(_ _)m