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父上はミラを救出してから毎日王宮に通っている。
王妃への処罰はまだ決まっていない。
処罰を決めようにも、その王妃には誰の声も届かず空想のライラ叔母上との生活を送っているそうだ。
俺にしたら、当時の令嬢たちの虐めでそこまで追い込まれるぐらいなら何故陛下に助けを求めなかったのかが理解出来ない。
「何故王妃は陛下からの問に『大丈夫』だとか『楽しい』と嘘をついたんだ?」
「ふんっ!あの人はね、まるで悲劇のヒロインのようだったわ。甘えていたのよ」
おいおい、我が母上は相変わらずキツイな。
「最初はね、理不尽な言いがかりで虐められる彼女に同情したわ。でもあの人は抵抗一つせずに自分で戦おうとしない、誰かが救ってくれるのをずっと待っているの。それがね目に見えるから令嬢たちもイラついたのだと思うわ。わたくしもそんな彼女を見ていると段々と腹が立ってね、一度注意をしたのよ。それではダメだと、守って貰うばかりではなく一言でも言い返せ!ってね。それからよ彼女はわたくしの存在を無視するようになったの。それでも・・・彼女は自分は悪くないと思っていたわ。結局"可哀想な自分"が好きなのよ。だから誰にも助けを求めなかったのよ」
まあ、王妃はか弱そうに見えるもんな。
だが、その当時王女の母上を無視するなんて以外と気が強いと言うか、図太いと言うか・・・
「陛下も言っていたよ。自分が守ってあげなければって思っていたと・・・それに王妃はいつも微笑んでお礼を言っていたそうだ。・・・それにだな、夜を拒否されたり嫌がる素振りも見せたことがなかっただけに相当ショックを受けていた。まさか嫌われていたとは・・・とね」
お、俺もミラに拒否されたらと思うと・・・自信も無くすだろうし、怖くて誘えなくなる気がする。まだそこまでの関係じゃないけどな!だが!キスはした!調子に乗って何度もしてしまったが絶対嫌がってなかった!
それよりも王妃は受け入れ続けたのは何故だ?
その行為すらも誰かが助けてくれると思っていたのか?夫婦なのに?
「だから、あの人は相手にはいい顔をして、実は自分の気持ちを察して欲しい甘ちゃんなのよ」
そうかもしれない・・・。
王妃を愛し守ろうとした、そんな陛下の気持ちを思いやることも出来ない人だったのか。
「ライラだけよ。あの人の本性を知っても見捨てなかったのは。ライラも何とかしようとしていたんだけれどね、聞く耳を持たなかったかったのよ。そんな時に陛下のプロポーズを受けたからあとは陛下に任せたのよ。わたくしから見ても2人は相思相愛に見えたから・・・それでもあの人は変わらなかったのね」
「ああ。もう彼女に王妃の椅子に座らせることは出来ない。それと・・・カイルが王太子を降りると言い出した」
「当然ですね」
「そうだよ~。ミラちゃんを攫って監禁しようとするような王太子に国王になる資格はないよ~」
今まで黙っていたローガンとセナの意見は正しいが・・・国王としての素質だけならカイルにはある。
「確かに元を正せばカイルが俺という婚約者のいるミラを攫ってまで手に入れようとしたのがきっかけとも言えるな」
「あいつは今の王妃を見て責任を感じている。・・・しかも母親からいらないとまで言われたんだ。辛いだろうな」
カイルのしようとした事には怒りしかないが、カイルも成人した男だ。王妃はともかく陛下はカイルのことも、オズワルドのことも常に気にかけていた。
母親にいらないと言われても、それまでは王妃からの無償の愛を信じていたはずだ。
ミラのように虐待されてきた訳ではない。
結局、王妃がどのような処罰を受けることになるのか、カイルも未遂とはいえ犯罪を犯そうとした罪がどうなるのかは、俺には分からない。
今の俺が言えるのは、二度とミラに近づくな!ってことだな。
王妃への処罰はまだ決まっていない。
処罰を決めようにも、その王妃には誰の声も届かず空想のライラ叔母上との生活を送っているそうだ。
俺にしたら、当時の令嬢たちの虐めでそこまで追い込まれるぐらいなら何故陛下に助けを求めなかったのかが理解出来ない。
「何故王妃は陛下からの問に『大丈夫』だとか『楽しい』と嘘をついたんだ?」
「ふんっ!あの人はね、まるで悲劇のヒロインのようだったわ。甘えていたのよ」
おいおい、我が母上は相変わらずキツイな。
「最初はね、理不尽な言いがかりで虐められる彼女に同情したわ。でもあの人は抵抗一つせずに自分で戦おうとしない、誰かが救ってくれるのをずっと待っているの。それがね目に見えるから令嬢たちもイラついたのだと思うわ。わたくしもそんな彼女を見ていると段々と腹が立ってね、一度注意をしたのよ。それではダメだと、守って貰うばかりではなく一言でも言い返せ!ってね。それからよ彼女はわたくしの存在を無視するようになったの。それでも・・・彼女は自分は悪くないと思っていたわ。結局"可哀想な自分"が好きなのよ。だから誰にも助けを求めなかったのよ」
まあ、王妃はか弱そうに見えるもんな。
だが、その当時王女の母上を無視するなんて以外と気が強いと言うか、図太いと言うか・・・
「陛下も言っていたよ。自分が守ってあげなければって思っていたと・・・それに王妃はいつも微笑んでお礼を言っていたそうだ。・・・それにだな、夜を拒否されたり嫌がる素振りも見せたことがなかっただけに相当ショックを受けていた。まさか嫌われていたとは・・・とね」
お、俺もミラに拒否されたらと思うと・・・自信も無くすだろうし、怖くて誘えなくなる気がする。まだそこまでの関係じゃないけどな!だが!キスはした!調子に乗って何度もしてしまったが絶対嫌がってなかった!
それよりも王妃は受け入れ続けたのは何故だ?
その行為すらも誰かが助けてくれると思っていたのか?夫婦なのに?
「だから、あの人は相手にはいい顔をして、実は自分の気持ちを察して欲しい甘ちゃんなのよ」
そうかもしれない・・・。
王妃を愛し守ろうとした、そんな陛下の気持ちを思いやることも出来ない人だったのか。
「ライラだけよ。あの人の本性を知っても見捨てなかったのは。ライラも何とかしようとしていたんだけれどね、聞く耳を持たなかったかったのよ。そんな時に陛下のプロポーズを受けたからあとは陛下に任せたのよ。わたくしから見ても2人は相思相愛に見えたから・・・それでもあの人は変わらなかったのね」
「ああ。もう彼女に王妃の椅子に座らせることは出来ない。それと・・・カイルが王太子を降りると言い出した」
「当然ですね」
「そうだよ~。ミラちゃんを攫って監禁しようとするような王太子に国王になる資格はないよ~」
今まで黙っていたローガンとセナの意見は正しいが・・・国王としての素質だけならカイルにはある。
「確かに元を正せばカイルが俺という婚約者のいるミラを攫ってまで手に入れようとしたのがきっかけとも言えるな」
「あいつは今の王妃を見て責任を感じている。・・・しかも母親からいらないとまで言われたんだ。辛いだろうな」
カイルのしようとした事には怒りしかないが、カイルも成人した男だ。王妃はともかく陛下はカイルのことも、オズワルドのことも常に気にかけていた。
母親にいらないと言われても、それまでは王妃からの無償の愛を信じていたはずだ。
ミラのように虐待されてきた訳ではない。
結局、王妃がどのような処罰を受けることになるのか、カイルも未遂とはいえ犯罪を犯そうとした罪がどうなるのかは、俺には分からない。
今の俺が言えるのは、二度とミラに近づくな!ってことだな。
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