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しおりを挟む残酷な描写があります。
苦手な方は読み飛ばしてください。
~マリア・フィガロ伯爵令嬢視点~
わたくしに会いに来てくれたのよね?
やっぱり能力が効いて、わたくしを愛していると気付いたのよね?
なのに何故?
・・・なんで?なんで?そんな恐ろしい目でわたくしを見るの?
『お前に聞きたい事がある』
わたくしの能力のこと?
貴方になら何でも答えてあげるわ。
「何でしょうか?」
「・・・何故ミラを標的に選んだ?」
え?そんな事が聞きたいの?
そんなの決まってるわ!
でも、コレつまり前世のことは言えないわね。
「だって物語には悪役令嬢か必要だもの!」
え?今のは誰が言ったの?
まさかわたくし?
「まだ効いているようだな」
何が?美丈夫は何を言っているの?
「お前の隠していることを全て話せ」
隠している事が多過ぎて何を話したらいいか分からない。
なのにわたくしの口は前世の事や、乙女ゲームの事、わたくしの企み等を勝手に喋っていく。
「前世の辺りは信じられないけれど妄想にしては具体的ね」
「それが真実だとして・・・この世界は乙女ゲームにはなかったのだろう?もう一度聞くなぜミラを標的にしたんだ?」
だって、デューク様が欲しかったんだもの。
それにはミラが邪魔だった。乙女ゲームや小説の中には必ず悪役令嬢がいたの。
だからミラに悪役令嬢になってもらおうとした。失敗しちゃったけれどね。
・・・?ミラを悪役令嬢にできてない?
これじゃあ、わたくしがハッピーエンドを迎えられない?
頭が混乱しながらもデューク様の問に答えていく。
今日の出来事だけでなく、オズワルド殿下にミラを国外追放させた後に企んでいた事も、ペラペラと話してしまった。
そう、ミラを護送する騎士たちに暴行させて、楽しんだあとは殺害する予定だったと・・・。
ヒッ!
3人から陽炎のような物が溢れ出した・・・
錯覚なんかじゃない、その証拠に一気に気温が下がった。息をする度に白いものが口から出てる。
あまりの寒さに体が震える・・・違う、これは恐怖から。
3人から向けられる殺意は初めてじゃない?
前世で全力疾走した時よりも、会話をしていただけなのに今の方がドクドクと心臓が痛いぐらいに煩い。
「よかったな。今回は法で裁かれる事になって」
『今回』?それを聞いて脳裏に浮かんできたのは・・・
ああああああああぁぁぁ
いやーーーー
あ、ああ、や、やめて、やめて、お願い、わたくしが悪かったわ、ゆ、許してお願い、お願いします
いたい、イタい、痛い・・・
助けて、助けて下さい・・・
『許すわけないだろ?・・・苦しみ痛みに悶えながら死ね』
そうだ、そうだった・・・
前回もわたくしはミラを陥れた。
他人事だと簡単に悪役令嬢に仕立て何もしていない、ひとりぼっちのミラを更に孤独にして・・・
最後には陵辱させ命まで奪うところまで・・・
でも、でも、でも、わたくしだって幸せになりたかったのよ!
前世は普通より少し可愛くないだけで、誰も相手にしてくれなかった。
今世ではこんなに可愛く生まれたのだからこの人生を幸せになってもいいじゃない!
あの3人の目に見覚えがあるはずだ。
ミラを大切に思っていたデューク様たちは、わたくしのした事を調べ上げあの場所に突き落とした時に向けてきた目だった。
言い訳も命乞いも聞き入れてくれなかった。
泣いても叫んでも許してくれず、わたくしは生きたまま何百、何千、何万の蛇に噛まれ、肉を引きちぎられ、痛みに泣き叫び・・・喰い殺された。
『よかったな。今回は法で裁かれる事になって』
ああああああああぁぁ・・・
よかった・・・よかった。今回は殺されないのね?
気付いたら石畳の上で寝ていたようだ。
「やっと起きたかい?」
だ、誰?
目覚めると聞き覚えのある声が聞こえた。
でも誰だか分からない。
「君には期待はしていなかったけど本当に使えない子だったね」
誰なの?
フードを深く被っているから顔も分からない。
それだけ言って彼は背を向けた。
「ああそうそう!言い忘れていたよ。君さぁ自分の事可愛いと思っているんだってね」
そうよ当たり前じゃない!
この顔をよく見なさいよ!
可愛いじゃない!
「前世は余程ブサイクだったんだね。その顔で可愛いとか何勘違いしてるの?今だって人並み程度かそれ以下だよ?」
なっ!
「ぷっははは・・・」
誰だったの?
ずっとずっと前だけど聞いたことのある声だった。
それから数日後、わたくしは草も生えていない寂しい広場のようなところで処刑されることになった。
罪名は・・・どうでもいいか。
どうせ死ぬんだし。
神様、次はわたくしが幸せになる為にもっともっと可愛く生まれ変わらせて下さいね。
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