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~マリア・フィガロ伯爵令嬢視点~
何で?何でこんな所に連れてこられたの?
部屋は汚くはないけれど狭い・・・
壁側に小さい机と椅子が1組。
わたくしが座らせられている椅子の前にも机と椅子。あとは鏡があるだけの殺風景な部屋。
それにわたくしは手を縛られたまま・・・ナゼ?
一番気になるのは鏡。
もしかしてアレって前世でいうマジックミラーじゃないの?
もしかしたらこっそり見られているかもしれないと思うと少しでも可愛く見えるポーズをするか、か弱く庇護欲を唆るような同情を引く仕草をするのか迷うわね。
それにしても、わたくしの能力は万能ではなかったの?
確かに能力を使ったのにオズワルド殿下にも、デューク様にも効いていなかった。
『お前の弱い魔法なんか俺たち魔力の多い者に効くわけがないだろう?』
オズワルド殿下の護衛に地面に押し付けられ、手も後ろに捻られ身動きが出来なくなったわたくしをデューク様が汚いものを見るような目で見下ろしながら侮蔑を込めた口調でそう言われた。
そんなの知らない!
王家の血を引いているから魔力が多いの?
でも、彼らが魔法を使えるとは聞いたことがなかった。
そうよ!高位貴族の中にだって魔法が使える人なんて・・・
だから、魔法が使えるわたくしは特別なんでしょう?
だから、特別な施設に招かれたのでしょう?
違うの?
でも結局能力が効かなかったのだから罪に問われたりしないよね?
頭の中が疑問でいっぱいになっていた時、ノックもせずに騎士の格好をした男女が入ってきた。
礼儀も知らない2人に怒鳴りそうになるのを我慢して、か弱く見えるように震えてみせる。
2人とも無表情だ。女の方がわたくしとテーブルを挟んで前の椅子に、男の方は壁側の椅子に座った。
女が相手だと可愛く見せるのはやめた。
わたくしがこれだけ可愛いと嫉妬され、反対に不利になりそうだもの。
怯えた振りをして男の方を見つめる。
・・・あれ?反応がない?おかしいな~?
「さて、時間は限られていますがコレでもどうぞ」
女の方が目の前に飲み物を置いた。
喉が渇いていたから丁度いい。
でも手は縛られたまま・・・このままだと飲めないでしょう!早く外しなさいよ!気が利かないわね!
「暴れられても困りますから飲ませて差し上げますよ」
はぁ?子供じゃないちゅーの!
「あ、暴れたりしませんわ」
そうだった・・・か弱く見せないと。
目に涙を浮かべて女騎士に訴える。
男騎士の方は壁に向かって座ったまま振り向きもしない。
けれど、女騎士には効果があったようで手枷を外してもらえた。
真っ白い液体は牛乳かと思えば味は前世の○むヨーグルトに似ていた。
懐かしい味に思わずおかわりの催促をしたのに意地悪な女騎士は「一杯で十分です」と・・・
そこからの事は何故だかあやふやな記憶しかない。
ふわふわと夢見心地でペラペラと何かを話していた気がする。
前世の事も話したような・・・?
寝てしまったのか、気絶したのか起きた時には窓もない鉄格子の中だった。
灯りは鉄格子の外の通路からしか入ってこない。
それに臭い!カビと埃の臭いの他に別の何かの臭いがする。
周りを見渡すと簡素なベッドに・・・バケツ?
もしかしてあれがトイレだったりする?
この臭いのもとはコレ?
元は平民とはいえ今は伯爵令嬢のわたくしが、こんな場所に入れられるなんて!
信じられないし許せない!
「出して!ここから出しなさいよ!」
「わたくしはフィガロ伯爵令嬢ですわよ!」
「誰かいるんでしょう?お義父様に言ってクビにするわよ!」
はぁはぁ・・・
叫んでも暴れても誰もいないのか物音一つしない。
なんなのよもう!
疲れても汚れたベッドに横になる気にはならず、壁にもたれかかって座り込んだ。
・・・コツコツコツ
いつの間にか眠っていたのか誰かの足音で目が覚めた。
コツコツ・・・こっちに来る?
鉄格子の向こうから現れたのはデューク様。
そして誰?
デューク様に似た美女と銀髪に紫の瞳の美丈夫。
年齢的にデューク様のご両親かしら?
「デューク様!わたくしを迎えに来てくれたのですね?やっぱりデューク様もわたくしの事を「黙りなさい」」
デューク様似の美女の冷たい声に、金縛りにあったかのように体が硬直した。
デューク様以外の2人とは初めて会ったはずなのに、憎しみ?怨嗟?そんな殺意の籠った目を向けられているの?
怖い・・・
デューク様。た、助け・・・
デューク様まで同じ目でわたくしを見るの?
わたくしが何をしたっていうの?
「・・・お前に聞きたい事がある」
嫌な予感にドクドクと煩いぐらいに心臓が早鐘をうつ・・・
何で?何でこんな所に連れてこられたの?
部屋は汚くはないけれど狭い・・・
壁側に小さい机と椅子が1組。
わたくしが座らせられている椅子の前にも机と椅子。あとは鏡があるだけの殺風景な部屋。
それにわたくしは手を縛られたまま・・・ナゼ?
一番気になるのは鏡。
もしかしてアレって前世でいうマジックミラーじゃないの?
もしかしたらこっそり見られているかもしれないと思うと少しでも可愛く見えるポーズをするか、か弱く庇護欲を唆るような同情を引く仕草をするのか迷うわね。
それにしても、わたくしの能力は万能ではなかったの?
確かに能力を使ったのにオズワルド殿下にも、デューク様にも効いていなかった。
『お前の弱い魔法なんか俺たち魔力の多い者に効くわけがないだろう?』
オズワルド殿下の護衛に地面に押し付けられ、手も後ろに捻られ身動きが出来なくなったわたくしをデューク様が汚いものを見るような目で見下ろしながら侮蔑を込めた口調でそう言われた。
そんなの知らない!
王家の血を引いているから魔力が多いの?
でも、彼らが魔法を使えるとは聞いたことがなかった。
そうよ!高位貴族の中にだって魔法が使える人なんて・・・
だから、魔法が使えるわたくしは特別なんでしょう?
だから、特別な施設に招かれたのでしょう?
違うの?
でも結局能力が効かなかったのだから罪に問われたりしないよね?
頭の中が疑問でいっぱいになっていた時、ノックもせずに騎士の格好をした男女が入ってきた。
礼儀も知らない2人に怒鳴りそうになるのを我慢して、か弱く見えるように震えてみせる。
2人とも無表情だ。女の方がわたくしとテーブルを挟んで前の椅子に、男の方は壁側の椅子に座った。
女が相手だと可愛く見せるのはやめた。
わたくしがこれだけ可愛いと嫉妬され、反対に不利になりそうだもの。
怯えた振りをして男の方を見つめる。
・・・あれ?反応がない?おかしいな~?
「さて、時間は限られていますがコレでもどうぞ」
女の方が目の前に飲み物を置いた。
喉が渇いていたから丁度いい。
でも手は縛られたまま・・・このままだと飲めないでしょう!早く外しなさいよ!気が利かないわね!
「暴れられても困りますから飲ませて差し上げますよ」
はぁ?子供じゃないちゅーの!
「あ、暴れたりしませんわ」
そうだった・・・か弱く見せないと。
目に涙を浮かべて女騎士に訴える。
男騎士の方は壁に向かって座ったまま振り向きもしない。
けれど、女騎士には効果があったようで手枷を外してもらえた。
真っ白い液体は牛乳かと思えば味は前世の○むヨーグルトに似ていた。
懐かしい味に思わずおかわりの催促をしたのに意地悪な女騎士は「一杯で十分です」と・・・
そこからの事は何故だかあやふやな記憶しかない。
ふわふわと夢見心地でペラペラと何かを話していた気がする。
前世の事も話したような・・・?
寝てしまったのか、気絶したのか起きた時には窓もない鉄格子の中だった。
灯りは鉄格子の外の通路からしか入ってこない。
それに臭い!カビと埃の臭いの他に別の何かの臭いがする。
周りを見渡すと簡素なベッドに・・・バケツ?
もしかしてあれがトイレだったりする?
この臭いのもとはコレ?
元は平民とはいえ今は伯爵令嬢のわたくしが、こんな場所に入れられるなんて!
信じられないし許せない!
「出して!ここから出しなさいよ!」
「わたくしはフィガロ伯爵令嬢ですわよ!」
「誰かいるんでしょう?お義父様に言ってクビにするわよ!」
はぁはぁ・・・
叫んでも暴れても誰もいないのか物音一つしない。
なんなのよもう!
疲れても汚れたベッドに横になる気にはならず、壁にもたれかかって座り込んだ。
・・・コツコツコツ
いつの間にか眠っていたのか誰かの足音で目が覚めた。
コツコツ・・・こっちに来る?
鉄格子の向こうから現れたのはデューク様。
そして誰?
デューク様に似た美女と銀髪に紫の瞳の美丈夫。
年齢的にデューク様のご両親かしら?
「デューク様!わたくしを迎えに来てくれたのですね?やっぱりデューク様もわたくしの事を「黙りなさい」」
デューク様似の美女の冷たい声に、金縛りにあったかのように体が硬直した。
デューク様以外の2人とは初めて会ったはずなのに、憎しみ?怨嗟?そんな殺意の籠った目を向けられているの?
怖い・・・
デューク様。た、助け・・・
デューク様まで同じ目でわたくしを見るの?
わたくしが何をしたっていうの?
「・・・お前に聞きたい事がある」
嫌な予感にドクドクと煩いぐらいに心臓が早鐘をうつ・・・
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