【完結】君を守るのが俺の使命・・・2度は繰り返さない。

kana

文字の大きさ
上 下
28 / 62

28

しおりを挟む
俺たちがミラの部屋に入ると、真っ青な顔で震えながら目に涙を浮かべたミラが・・・

「・・・リューク」と、心細そうに俺を見上げながらそう呼んだ。

様子がおかしい。
最近は俺のことをデュークと呼んでいたのにどうしたんだ?

「ミラ、何があったの?」

「お、伯母様」

!!!

まさか!?
ミラの記憶が・・・?

「違うわ。わたくしはミラのお義母様よ」

母上はミラの手を握り安心させるように微笑んでそう言った。

「そ、そうだよね?私は・・・私はティタニア公爵家の養子に・・・」

「そうだぞ。そして私がミラのお義父様だ」

「!!!デュークは私の婚約者・・・だよね?」

ああ、これは間違いない。
ミラは思い出してしまった・・・悲惨な前回を。

「そうだよ。ミラと俺は婚約している。ミラは俺のになるんだよ」

「うん、うん・・・よかった。・・・デューク大好きだよ」

こんな時だけどミラが可愛すぎる!

「お、俺も!俺もミラが大好きだ!」

「あら?わたくしは?」

「おいおい私もだろ?」

ミラは泣き笑いの顔で「2人とも大好き!」って抱きついていた。

父上も母上も、きっとローガンやセナもミラが前回の記憶を思い出したことに気付いている。

前回の当事者であるミラに詳しく聞ければ・・・いや、無理だな。
俺たちが調べた内容だけで、怒りで頭がどうにかなってしまいそうだったのに、それを10年も辛い思いをしてきたミラに聞くのは酷だな。

このまま前回を思い出すことなく幸せにしてやりたかったのに・・・
アイツらが・・・アイツらのせいだ。
絶対にタダじゃ済まさねぇ。



ミラが落ち着いたところでソファに移動した。
お茶を震える手で一口飲んでからミラが話しはじめた。

やはり・・・思い出していた。
ほとんど俺たちが前回調べた内容と一致した。
ただ、他人から聞かされて知った内容よりも、その時のミラの心境や痛みを本人から直接聞かされるのは辛いものがあった。

ローガンとセナも歯を食いしばって黙って聞いていた。

俺たちが復讐したことは内緒にして、ミラの墓の前でライラ叔母上の最後の言葉を伝えた。

『じゃあ、次こそはミラを守ってあげて。お願いよ。』

「お母様・・・」

ポロポロと涙を流すミラを母上はずっと抱きしめていた。

だから、俺たちは目覚めたと同時にミラをボイル侯爵家から助け出したんだと・・・二度目は必ずミラを守ると誓って。

ミラの父親は縁を切らせた。
そして奴は子爵となり、我が家とは爵位に大きな差があり会うことはほぼ無いだろうこと。

義母は鉱山送り。
元と同じ娼婦仕事をしていること。

エルザは孤児院に送られたが、何の因果かカトラーレ子爵家に養女として迎えられ同じ学院の生徒として目の前に現れた。

ボイル侯爵家に雇われていた使用人たち全てと、家庭教師も鉱山送り。出てくることは二度とない。

「明日、あの生徒たちの処罰について陛下に会ってくる。何かミラから伝えたいことはないかい?」

「ミラ?どうしたの?震えているわ」

震えている?

「どうした?何でも言っていいんだよ」

「あ、あの信じてもらえるか分からないけれど・・・」

ミラの話したのはカイルの事だった。

まだ両親には今日オズワルドから聞いた話しをしていなかった。

驚愕する二人に俺は小さく頷き、本当だと目で伝えた。
そりゃあ、信じられないよな。
品行方正で頭脳明晰、さらに眉目秀麗。
浮いた話しも一度もない。
国民からの人気もある。
完璧な王子様だ。

23歳のカイルを狙っている令嬢は数知れず。
娘を嫁がせたい貴族も腐るほどいるだろう。
カイルには婚約者がいないからな。

それにしても、ミラの頬や指を舐めるだなんて、ただの従兄妹にすることではない。

今回もカイルがミラを狙っているとしたら・・・?
マリアよりも厄介だ。
カイルは俺たち以上に権力を持っているからな。

気付けばもう夜中だった。
まだ少しだけ不安そうなミラは母上と寝ることになった。

「お義母様ありがとう。ふふっ、久しぶりで少し嬉しい」

ハニカミながらやっと笑顔を見せたミラに俺たちも癒され安心した。



そのまま恒例の風呂に2人で入り、その後はミラの部屋で寝るそうで俺たちはミラの部屋をあとにした。

そしてまた父上の執務室に戻り対策を練ることにした。


その日、俺たちの話し合いは明け方まで続いた・・・
しおりを挟む
感想 85

あなたにおすすめの小説

結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください

シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。 国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。 溺愛する女性がいるとの噂も! それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。 それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから! そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー 最後まで書きあがっていますので、随時更新します。 表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした

アルト
ファンタジー
今から七年前。 婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。 そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。 そして現在。 『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。 彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。

さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】 私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。 もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。 ※マークは残酷シーン有り ※(他サイトでも投稿中)

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです

きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」 5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。 その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

処理中です...