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~マリア・フィガロ伯爵令嬢視点~
きた、キタ、来た、来た、来たーーーーー!
なにあの子、ウチのクラスに編入してきたエルザじゃない!
一目見たときから怪しいと思っていたのよね!
小柄で華奢だし、か弱そうで守ってあげたくなる雰囲気だし、艶やかな黒髪に黒い大きな目。
エルザを見たクラスの男たちも色めきだっていたもの。
私が密かに狙っているデュークの婚約者ミラ。
彼女を悪役令嬢に仕立てて孤立無援にしようと計画していたその義妹って!出来すぎだわ!笑うわーー
もう、まさに王道!
天真爛漫で、素直で、笑顔が似合う子爵令嬢のヒロイン=エルザ。
下位貴族だけど、その魅力で攻略対象者たちをメロメロにするんでしょう?
やっぱり!やっぱりここは乙女ゲームか小説か何かの世界なのよ!
入学してからヒロインらしき人を探してもいなかったはずだわ。
遅れて登場するなんて、まさにヒロインあるあるじゃない!
今日の騒ぎでオズワルド殿下に庇われて、ここから王子様と少しづつ親しくなって行くのね。
王子様の側には宰相の息子や、騎士団長の息子もいるはずよね!
うふふふふ・・・私はコレを待っていたのよ!
あとは私があれを使ってエルザと王子様を結ばれるように後押しすれば・・・
後押しすれば・・・あれ?何かおかしくない?
王道だと、王子様との間に障害になるのは婚約者(悪役令嬢)の存在のはずなんだけど・・・オズワルド殿下には婚約者がいない・・・障害があるとすれば身分の差ぐらい。
デューク様の婚約者の立場にいるミラには、ヒロインを見つけ次第、冤罪だろうが何かしらミラの仕業に見せかけて嵌めるつもりだったけれど・・・
最初の予定ではヒロインの後押しをして、そのお零れの二番手の男を頂くつもりだったけれど・・・
私の好みのど真ん中のデューク様を見つけた時から、どんな卑怯な手を使ってでも彼を手に入れようと思った。なのにミラの存在がそれを邪魔をした。
だから、ミラを悪役令嬢に仕立てて嵌めるつもりだった。
でも、いつ見てもミラの側にはデューク様がいて、デューク様がいない時にはあのチビがミラの側にいて離れないから嵌めるのにも隙がない。
でもミラを悪役令嬢にするには・・・婚約者のデューク様にエルザを接近させないと嫉妬や虐めなんてする理由はないよね。
それに、デューク様とミラを引き離し、彼を私のモノにするのにミラは邪魔だけど、エルザって必要?
もし、デューク様がエルザに本気になってしまったら本末転倒だわ。
男に好かれるヒロインの仕草や立ち回りを伝授してあげるから、エルザは私の指示通り動けばいいの。
貴女はオズワルド殿下で満足しなさい。
彼自身にアレが使うことが出来たら、確実に落とせる自信ならあるのに・・・
今日までの一年間、ずっとデューク様を観察していた。
どの角度から見ても完璧な男。
頭脳明晰で、公爵家嫡男という地位、鍛えられ引き締まった男らしい身体、自分の行動にも言動にも自信を持っている男。
そして、とびきりのイケメン!
ゲームで言うなら"隠れキャラ"ってやつよね。
間違いないわ!
あんな魅力的な男は、前世を入れても出会ったことがない。
彼を知れば知るほど私のモノにしたくなった。
あの子のように彼と話したい。
あの子のように彼と手を繋ぎたい。
あの子のように彼に見つめられたい。
私にも笑いかけて欲しい。
それには邪魔なミラは排除しないと!
前世の私は普通よりは少しだけ可愛くなかったけれど、今世の私なら・・・彼を手に入れられると思う。
だって今世の私は緩く波うつピンクの髪に青い大きな目のとっても可愛い女の子だもの。
本当は私がヒロインだと思うのよ?
学院に入学してからも、何人かの男が声を掛けてきたのがその証拠。
前世じゃあ、そんなこと有り得なかった。
だけど、目立ってしまうと私が虐めの標的になって痛い思いや辛い思いをしたくないじゃない?
だから頭の足りないヒロインを作り上げるの。
批判や蔑みはヒロインに任せるわ。
でも、こんなに可愛い私なのに彼の目が私を映すことはなかった。
彼はミラしか見ていない。
だったらあの子を排除するしかないじゃない?
その方法をずっと考えていた所に、エルザが現れた。
彼女を上手く使えば・・・。
まずはエルザに近付いて信用されることね。
簡単よ。
私にはあの力があるのだから・・・。
『能力を悪用する事は犯罪になります。貴女の能力は生涯使う必要のない力です。くれぐれもお気を付け下さい』
施設の所長だか、なんだかがそんな事を言っていたけれど、自分の欲しいものを手に入れるために使える力を使って何が悪いのよ。
馬鹿じゃないの?
使うに決まっているじゃん!
私はエルザの『お義姉様』とミラを呼ぶ声しか聞いていなかったのだ・・・。
エルザが後妻の連れ子で、ミラとはまったくの他人だって後々知るまで・・・
オズワルド殿下がエルザを囮に私を追い込むなんて・・・
私がオズワルド殿下に使ったアレがなんの効き目もなかったなんて・・
デューク様が、殺したいほど私を恨んでいたなんて・・・
・・・だから失敗した。
きた、キタ、来た、来た、来たーーーーー!
なにあの子、ウチのクラスに編入してきたエルザじゃない!
一目見たときから怪しいと思っていたのよね!
小柄で華奢だし、か弱そうで守ってあげたくなる雰囲気だし、艶やかな黒髪に黒い大きな目。
エルザを見たクラスの男たちも色めきだっていたもの。
私が密かに狙っているデュークの婚約者ミラ。
彼女を悪役令嬢に仕立てて孤立無援にしようと計画していたその義妹って!出来すぎだわ!笑うわーー
もう、まさに王道!
天真爛漫で、素直で、笑顔が似合う子爵令嬢のヒロイン=エルザ。
下位貴族だけど、その魅力で攻略対象者たちをメロメロにするんでしょう?
やっぱり!やっぱりここは乙女ゲームか小説か何かの世界なのよ!
入学してからヒロインらしき人を探してもいなかったはずだわ。
遅れて登場するなんて、まさにヒロインあるあるじゃない!
今日の騒ぎでオズワルド殿下に庇われて、ここから王子様と少しづつ親しくなって行くのね。
王子様の側には宰相の息子や、騎士団長の息子もいるはずよね!
うふふふふ・・・私はコレを待っていたのよ!
あとは私があれを使ってエルザと王子様を結ばれるように後押しすれば・・・
後押しすれば・・・あれ?何かおかしくない?
王道だと、王子様との間に障害になるのは婚約者(悪役令嬢)の存在のはずなんだけど・・・オズワルド殿下には婚約者がいない・・・障害があるとすれば身分の差ぐらい。
デューク様の婚約者の立場にいるミラには、ヒロインを見つけ次第、冤罪だろうが何かしらミラの仕業に見せかけて嵌めるつもりだったけれど・・・
最初の予定ではヒロインの後押しをして、そのお零れの二番手の男を頂くつもりだったけれど・・・
私の好みのど真ん中のデューク様を見つけた時から、どんな卑怯な手を使ってでも彼を手に入れようと思った。なのにミラの存在がそれを邪魔をした。
だから、ミラを悪役令嬢に仕立てて嵌めるつもりだった。
でも、いつ見てもミラの側にはデューク様がいて、デューク様がいない時にはあのチビがミラの側にいて離れないから嵌めるのにも隙がない。
でもミラを悪役令嬢にするには・・・婚約者のデューク様にエルザを接近させないと嫉妬や虐めなんてする理由はないよね。
それに、デューク様とミラを引き離し、彼を私のモノにするのにミラは邪魔だけど、エルザって必要?
もし、デューク様がエルザに本気になってしまったら本末転倒だわ。
男に好かれるヒロインの仕草や立ち回りを伝授してあげるから、エルザは私の指示通り動けばいいの。
貴女はオズワルド殿下で満足しなさい。
彼自身にアレが使うことが出来たら、確実に落とせる自信ならあるのに・・・
今日までの一年間、ずっとデューク様を観察していた。
どの角度から見ても完璧な男。
頭脳明晰で、公爵家嫡男という地位、鍛えられ引き締まった男らしい身体、自分の行動にも言動にも自信を持っている男。
そして、とびきりのイケメン!
ゲームで言うなら"隠れキャラ"ってやつよね。
間違いないわ!
あんな魅力的な男は、前世を入れても出会ったことがない。
彼を知れば知るほど私のモノにしたくなった。
あの子のように彼と話したい。
あの子のように彼と手を繋ぎたい。
あの子のように彼に見つめられたい。
私にも笑いかけて欲しい。
それには邪魔なミラは排除しないと!
前世の私は普通よりは少しだけ可愛くなかったけれど、今世の私なら・・・彼を手に入れられると思う。
だって今世の私は緩く波うつピンクの髪に青い大きな目のとっても可愛い女の子だもの。
本当は私がヒロインだと思うのよ?
学院に入学してからも、何人かの男が声を掛けてきたのがその証拠。
前世じゃあ、そんなこと有り得なかった。
だけど、目立ってしまうと私が虐めの標的になって痛い思いや辛い思いをしたくないじゃない?
だから頭の足りないヒロインを作り上げるの。
批判や蔑みはヒロインに任せるわ。
でも、こんなに可愛い私なのに彼の目が私を映すことはなかった。
彼はミラしか見ていない。
だったらあの子を排除するしかないじゃない?
その方法をずっと考えていた所に、エルザが現れた。
彼女を上手く使えば・・・。
まずはエルザに近付いて信用されることね。
簡単よ。
私にはあの力があるのだから・・・。
『能力を悪用する事は犯罪になります。貴女の能力は生涯使う必要のない力です。くれぐれもお気を付け下さい』
施設の所長だか、なんだかがそんな事を言っていたけれど、自分の欲しいものを手に入れるために使える力を使って何が悪いのよ。
馬鹿じゃないの?
使うに決まっているじゃん!
私はエルザの『お義姉様』とミラを呼ぶ声しか聞いていなかったのだ・・・。
エルザが後妻の連れ子で、ミラとはまったくの他人だって後々知るまで・・・
オズワルド殿下がエルザを囮に私を追い込むなんて・・・
私がオズワルド殿下に使ったアレがなんの効き目もなかったなんて・・
デューク様が、殺したいほど私を恨んでいたなんて・・・
・・・だから失敗した。
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