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学院に入学して早半年が経とうとしている。

俺とミラが婚約者同士だという事は学院の中で知らない者はいないだろう。

今のところミラに対する視線に侮辱や蔑みのようなものを向けてくる者はいない。
が、ミラに妬み嫉妬の視線を向ける女たちはいる。



俺は自分で言うのをだが、俺の顔は母上にとても似ている。
~の至宝だとか、孤高の薔薇だとかに例えられる程の美女らしい母上に・・・だ。
それに王家の色も受け継いでいるからか、女たちには魅力的に見えるようだ。

前回も言い寄ってくる女は腐るほどいたが、すべて払い除けてきた。
ミラ以外の女に興味を持ったことなど一度もない。

まあ俺にも女たちと同じ妬みと嫉妬の視線を向けてくる男たちもいるが、お前たちがミラに近付く隙を俺が与えると思うか?

男女で別れる授業以外で、俺は常にミラに寄り添い側を離れる事はしない。
そんな俺に『執着変態男』と呼ぶのは・・・

「ミラちゃん、今日のデザートは何だと思う?」

「うふふ、セラさんはまだ授業も始まってないのに、もうランチのこと考えているの?」

えへへっと此処ぞとばかりにミラに甘えるセラだが・・・
あざと過ぎる・・・お前自分の歳分かっているのか?
140cm程しかないセラは傍から見れば姉に甘える妹のようにも見える。

どうしても俺が一緒に居られない時は、この年齢詐称のセラがミラに付いている。

見た目は小さいが護衛として十分過ぎる戦闘能力を持っているセラは、ミラを友人ポジションで守ってくれてはいるのだが・・・
コイツが一番学生生活を楽しんでいる気がするのは俺の気の所為だろうか?

ミラ・・・セラ相手に可憐な笑顔を見せなくてもいいんだぞ?

ほら、ミラの笑顔に見惚れて感嘆のため息を吐く男たちがあっちにも、こっちにも・・・キリが無い。

その中にはオズワルドも・・・。
今のオズワルドがミラを見つめる目には、嘲りも侮蔑もない。
手の届くことのない相手に恋い焦がれる男の目だ。

それでも必要以上に近寄ってこないのは、やはり前回の己の行いを陛下に聞かされたからだろう。

今のオズワルドならミラを傷つけることはないと思うが、前回のミラの死の一端を作ったお前には二度と任せられない。
それに今は俺の婚約者だ。
それでも挨拶ぐらいは許すさ。肩書きは従兄弟同士だもんな。

「おはよう。ミラ、デューク」

「おはようございます。オズ兄様」

「おはよう、オズワルド」

「もう、学院には慣れたかい?」

「はい!お心遣いありがとうございます」

ミラにどびきりの笑顔を向けられて、ほのかに頬に色がつく。
なあミラは可愛いだろう?
なぜ前回のお前はミラにあんな事ができたのだ?
ミラの環境をなぜ調べようとしなかった?
お前一人の行動でミラの環境は天と地の差ほど変わったはずなのに・・・

学院に入って半年も経つというのに、俺たち三人が揃うと騒がしさが倍増する。

キツい顔立ちの俺とは違い、銀髪に翠の瞳。優しいそうな甘い顔立ちに、隠せない気品。
幼子が一度は憧れる理想の王子様そのままが目の前のオズワルドだ。


そんな俺たちが揃った時には必ず嫉妬や怨嗟の籠った視線をミラに向けてくるのが"マリア"だ。
オズワルドもその視線には気付いているようで、俺に目配せしてくる。

今のオズワルドならマリアに踊らされることは無いと信じたいが・・・まだ信用しきれない俺がいる。
頼むから二度と俺たちの敵に回らないでくれ。
お前を手にかけるのは一度で十分だ・・・。



それからもマリアへの監視も警戒も解かず俺たちは2年に上がった・・・

そこで、俺たちの前にアイツか現れた。

何の因果か・・・エルザが編入してきたんだ。

まっ、それも事前報告で知っていたがな!

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