上 下
9 / 62

9

しおりを挟む
当然だが、俺とミラは同じクラスになった。

チラチラと男も女も俺たちを見ては頬を染めたり、目が合えば慌てて目を逸らす。
一体何がしたいんだか・・・。

このクラスにマリアがいないことは確認済みだ。

前回のこの学院の学院長も教師もミラへの虐めを見て見ぬふりをしていた者達だったからな、陛下が総入れ替えしたと父上から聞いている。

前回とは変わっている。

まずはミラを虐待していた義母は鉱山で慰み者に・・・義妹だったエルザは平民に戻り孤児院へ・・・そしてミラは、ボイル侯爵家とは縁を切って我がティタニア公爵家の養女になっている。

何より大きいのがオズワルドの婚約者になっていない事だ。

そして一番警戒しなといけない相手はマリアだ。
マリアは声に魔力を乗せて人を操れる能力を持っている。

だが大勢の人を操るだけの魔力は無く、人格を変えるほどの能力でもない。
思い込みの激しい者や、人に流されやすい性格の者には少し効果が上がる程度の微弱な能力だ。

ま、俺やミラは魔法は使えないが王族の血を引いているからか、魔力は膨大だからマリアの能力を使われても効く事はない。

それを踏まえると、もしかしたら前回のオズワルドはマリアに操られていなかったのかもしれない。
そうすると・・・ミラを虐げていた理由は・・・余程ミラを疎ましく思っていた・・・からなのか?

「ねえ、デュークってば!聞いてるの?」

だからミラ~
頬を膨らませて怒っても可愛いだけなんだぞ。

「ごめんごめんもう一回言って?それに怒ったミラも可愛いな」

う~~と、口を尖らせて拗ねたミラも可愛い。

担任が来るまで俺はミラが話す学院生活への希望を聞かされることになった。
なるべくならミラの希望はすべて叶えてやりたい。




・・・・・・。

なぜお前が教壇そこに立っている?

「今日から私がこのクラスの担任になるローガン・イーリヤだ」

コイツは我が家の騎士団の団長で、俺を容赦なく鍛えた鬼のように強い男だ。
未だに一度も勝てたことがない。

お前、教鞭なんて取れるのかよ。



「まずは自己紹介だな。から順に始めようか」

き、君??って、お前誰だよ!
突っ込むのは帰ってからにするが、鳥肌が立ったじゃないか!
ミラはなぜかローガンを見て喜んでいる。
まあ、普段は鬼団長だがミラには甘いからな。


次々、自己紹介をしていくクラスメイトの名前と顔を確認する。
中には前回で俺が処分した者もいた。
先程までミラを好意的に見ていた令嬢も、見惚れていた男もだ。

「セナ・ドバースです。よろしくね」

セ、セナ・・・お前まで・・・でも無理がないか?
お前もうすぐ30に手が届くはずじゃあ・・・
意外と制服を着ても違和感がないのは幼児体型だからかだろうか?
確かに小さくて幼児体型のセナは学生に見えなくもない・・・か?

セナもウチの騎士団所属だ。
対戦してもスピードがあり、小さいだけにやりにくい相手だったりする。

そして番犬の飼育係でもある。

そのウチの獰猛な番犬たちだが、ミラに対してだけは"ミラ見守り番犬隊"だったりする。

ミラはよちよち歩きの頃から動物が好きで、見た目から恐れられる我が家の番犬にも平気で抱きつく恐れ知らずでもあった。
だからか、ウチに侵入する不届き者には容赦なく牙を剥く番犬も、ミラにはしっぽを振って媚びて懐いている。

セナ!こっちを見てウインクするのは止めろ!
気持ち悪いだろ!

まあ、ミラの友人ポジションに護衛を置くのは心強いが、セナの年齢を知っているだけにんだよな~。

ああ、ミラがすごく嬉しそうにしている・・・。それなら、いい・・・のか??

しおりを挟む
感想 85

あなたにおすすめの小説

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―

望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」 【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。 そして、それに返したオリービアの一言は、 「あらあら、まぁ」 の六文字だった。  屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。 ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて…… ※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

貴方が側妃を望んだのです

cyaru
恋愛
「君はそれでいいのか」王太子ハロルドは言った。 「えぇ。勿論ですわ」婚約者の公爵令嬢フランセアは答えた。 誠の愛に気がついたと言われたフランセアは微笑んで答えた。 ※2022年6月12日。一部書き足しました。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。  史実などに基づいたものではない事をご理解ください。 ※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。  表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。 ※更新していくうえでタグは幾つか増えます。 ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・

青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。 婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。 「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」 妹の言葉を肯定する家族達。 そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。 ※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。

運命の番?棄てたのは貴方です

ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。 番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。 ※自己設定満載ですので気を付けてください。 ※性描写はないですが、一線を越える個所もあります ※多少の残酷表現あります。 以上2点からセルフレイティング

白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。

あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。  無言で睨む夫だが、心の中は──。 【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】 4万文字ぐらいの中編になります。 ※小説なろう、エブリスタに記載してます

婚約者が不倫しても平気です~公爵令嬢は案外冷静~

岡暁舟
恋愛
公爵令嬢アンナの婚約者:スティーブンが不倫をして…でも、アンナは平気だった。そこに真実の愛がないことなんて、最初から分かっていたから。

【完結】長い眠りのその後で

maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。 でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。 いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう? このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!! どうして旦那様はずっと眠ってるの? 唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。 しょうがないアディル頑張りまーす!! 複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です 全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む) ※他サイトでも投稿しております ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです

処理中です...