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何を言っているの?
わたくしは夢を見ているの?
「本当は優しくしたかった。話もしたかった。周りの悪意からも守ってあげたかった。レティシアを大切にしたかったんだ」
これは本当に殿下なの?
「もう2度とあんな態度は取らない」
やっぱり夢なの?
「レティシアがいなくなって謝ることもできず、ずっと後悔していた。毎日、毎日後悔していた。今更だって分かっている。だけどお願いだ俺を許してくれ」
こんなに必死な殿下を見たことがない。
「愛しているんだ」
わたくしを抱きしめる腕が強くなった。
「レティシアだけを愛しているんだ」
殿下が震えている。
「本・・当・・・に?」
わたくしの肩に顔を埋めて「本当だ信じてくれレティシア」
もう、涙が止まらなかった。
「本当に本当?夢じゃないの?」
「信じてくれ。お願いだ何でもする、何でも聞くだから、俺を嫌いにならないで」
「!!嫌いになんかなれない・・・貴方を忘れようとしても忘れられなかったの・・・貴方以外の人を好きになれなかったの」
「・・・今も殿下を愛しているの」
ビクッと殿下が固まったと思ったらさらにキツく抱きしめられた。
わたくしもそっと殿下の背中に腕をまわした。
もう離れたくなかった。
「これからは何でも話す」
「はい」
「大事にする」
「はい」
「許してくれるのか?」
「はい」
そっと離れて見上げると、殿下はとても嬉しそうな顔で笑顔を見せてくれた。
目が離せなかった。
わたくしに向けられるその顔がずっと見たかったの。
その時会場から音楽が流れてきた。
デビュタント!
お父様を待たせている!
パッと同時に離れた。
急いで戻らないと!慌てるわたくしの手を取って「最初からこうすれば良かったんだな」と言いながら優しい目で笑ってくれた。
お父様の待つ控え室に入ると、わたくしと殿下を見てお父様は「やっぱりな」と、また泣き出してしまった。
お母様には「良かったわね。でもお化粧直しが先よ」と王宮の侍女を呼んでくれた。
1番最後に入場するわたくしのエスコートは殿下が譲らず、お父様から殿下に変更になった。
2人で陛下と王妃様へ挨拶に行くと、陛下からは「おめでとう」と、王妃様は泣き出してしまった。
もちろんファーストダンスは2人で踊った。
殿下が顔を近づけて「これからはデュークと呼んでくれ」と言ってくれたので、遠慮なく「デューク様」と呼ぶとわたくしがずっと見たかった笑顔になった。
それだけで会場中が騒然とした。
~数年後~
相変わらず笑わない王太子だが、レティシアの前だけでは蕩けるような笑みを見せるようになったとか・・・
2人が庭園を手を繋いで歩く姿もよく見られる光景だとか・・・
結婚して二男三女に恵まれても仲睦まじい2人の散歩の様子はいつまでも変わらなかったとか・・・
完
わたくしは夢を見ているの?
「本当は優しくしたかった。話もしたかった。周りの悪意からも守ってあげたかった。レティシアを大切にしたかったんだ」
これは本当に殿下なの?
「もう2度とあんな態度は取らない」
やっぱり夢なの?
「レティシアがいなくなって謝ることもできず、ずっと後悔していた。毎日、毎日後悔していた。今更だって分かっている。だけどお願いだ俺を許してくれ」
こんなに必死な殿下を見たことがない。
「愛しているんだ」
わたくしを抱きしめる腕が強くなった。
「レティシアだけを愛しているんだ」
殿下が震えている。
「本・・当・・・に?」
わたくしの肩に顔を埋めて「本当だ信じてくれレティシア」
もう、涙が止まらなかった。
「本当に本当?夢じゃないの?」
「信じてくれ。お願いだ何でもする、何でも聞くだから、俺を嫌いにならないで」
「!!嫌いになんかなれない・・・貴方を忘れようとしても忘れられなかったの・・・貴方以外の人を好きになれなかったの」
「・・・今も殿下を愛しているの」
ビクッと殿下が固まったと思ったらさらにキツく抱きしめられた。
わたくしもそっと殿下の背中に腕をまわした。
もう離れたくなかった。
「これからは何でも話す」
「はい」
「大事にする」
「はい」
「許してくれるのか?」
「はい」
そっと離れて見上げると、殿下はとても嬉しそうな顔で笑顔を見せてくれた。
目が離せなかった。
わたくしに向けられるその顔がずっと見たかったの。
その時会場から音楽が流れてきた。
デビュタント!
お父様を待たせている!
パッと同時に離れた。
急いで戻らないと!慌てるわたくしの手を取って「最初からこうすれば良かったんだな」と言いながら優しい目で笑ってくれた。
お父様の待つ控え室に入ると、わたくしと殿下を見てお父様は「やっぱりな」と、また泣き出してしまった。
お母様には「良かったわね。でもお化粧直しが先よ」と王宮の侍女を呼んでくれた。
1番最後に入場するわたくしのエスコートは殿下が譲らず、お父様から殿下に変更になった。
2人で陛下と王妃様へ挨拶に行くと、陛下からは「おめでとう」と、王妃様は泣き出してしまった。
もちろんファーストダンスは2人で踊った。
殿下が顔を近づけて「これからはデュークと呼んでくれ」と言ってくれたので、遠慮なく「デューク様」と呼ぶとわたくしがずっと見たかった笑顔になった。
それだけで会場中が騒然とした。
~数年後~
相変わらず笑わない王太子だが、レティシアの前だけでは蕩けるような笑みを見せるようになったとか・・・
2人が庭園を手を繋いで歩く姿もよく見られる光景だとか・・・
結婚して二男三女に恵まれても仲睦まじい2人の散歩の様子はいつまでも変わらなかったとか・・・
完
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