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卒業式当日、卒業生代表で挨拶をした殿下を見てから帰路に着いた。
夕方からの卒業パーティーには参加しない。
着替えが終わり次第、ラフィーネと一緒に隣国に2年間留学する。
結局10年も婚約していても殿下とは挨拶するだけの知り合い程度の関係しか築けなかった。
もう忘れよう。
きっと隣国ではラフィーネもいるし、わたくしの事を誰も知らない学園では今よりも楽しい学園生活が送れるはず。
お父様なんて「嫌だ~行かないでくれ~」とわたくしに縋りついてお母様に怒られていた。
そんなお母様も涙目で抱きしめてくれた。
まだ幼いロイが「ねえたま行かないで」と大泣きするのには、わたくしも抱きしめて泣いてしまった。
それでも、このままこの国にいることは出来ない。
「次、帰ってきた時にはきっと強いわたくしになっているからね」と馬車に乗り込んだ。
殿下には卒業パーティーの翌日、つまり明日立太子の義が終わってから、婚約解消の報告がされるらしい。
その時に手紙を渡してもらえるようにお願いしている。
さようなら 殿下
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今日から隣国メリーサ帝国の学園に2学年から編入する。
もちろんラフィーネも一緒に。
帝国のリスナート公爵家に嫁いだお母様のお姉様、つまり伯母様とは何度かお会いしている。
お母様をおっとり系だとすると、伯母様は優しい顔立ちだがさっぱり系で人によってはキツく感じる人もいるだろう。
ラフィーネは顔は伯父様似で、性格は伯母様似。
公爵家にはラフィーネの4歳年上のテオドールお兄様と4人家族でテオ兄様と呼ばさせてもらっている。
テオ兄様は伯母様似で優しい顔立ちの美男子だ。
6歳で婚約するまでは、母国と隣国を行ったり来たりしながら交流を持っていた。
その頃兄妹のいないわたくしは優しいテオ兄様の後を追いかけては構ってもらっていた。
みんなに見送られラフィーネと馬車に乗り込む。
母国では出来なかった友達を帝国で作ることが第1の目標だ。
「緊張しないで大丈夫よ。レティシアなら友達なんてすぐにできるわよ。自慢の従姉妹なんだから!」
「そうだといいけれど・・・」自信がない。
「大丈夫!見た目だってこんなに可愛いのよ!性格だって控えめで守ってあげたくなるわ!」
「前の学園では誰もそんなこと言ってくれなかったわ」
「大丈夫だって!ここは帝国よ!レティシアのことを色眼鏡で見る人はいないわ!」
「そうかな?」
なんて励まされているうちに編入する学園に着いた。
馬車からラフィーネが先に降りて、続いてわたくしが降りると一斉に注目を浴びた。
一瞬体が強ばったがラフィーネが手を引いてくれたことで余計な力が抜けた。
「ラフィーネじゃない!」「帰ってきたの?」前から2人の令嬢が歩いてくる。
「あら?もしかしてレティなの?」
え?
「はい、レティシアと申します。」
「やっぱり!覚えてない?昔リスナート公爵家でよく遊んだでしょ?」
「もしかしてリットにアリス?」
「そうよ!」「覚えてるじゃない!」
リットとアリスは双子の姉妹で帝国に来た時にはよく遊んだ。というか面倒を見てもらっていた。
2人は双子だけあって見た目はそっくり。
性格もそっくり。
親も間違えると聞いていたけれど、わたくしは間違えたことがなかった。
「あとでゆっくり話しましょう」「同じクラスになれるといわね」と別れてわたくしとラフィーネは職員室に向かった。
夕方からの卒業パーティーには参加しない。
着替えが終わり次第、ラフィーネと一緒に隣国に2年間留学する。
結局10年も婚約していても殿下とは挨拶するだけの知り合い程度の関係しか築けなかった。
もう忘れよう。
きっと隣国ではラフィーネもいるし、わたくしの事を誰も知らない学園では今よりも楽しい学園生活が送れるはず。
お父様なんて「嫌だ~行かないでくれ~」とわたくしに縋りついてお母様に怒られていた。
そんなお母様も涙目で抱きしめてくれた。
まだ幼いロイが「ねえたま行かないで」と大泣きするのには、わたくしも抱きしめて泣いてしまった。
それでも、このままこの国にいることは出来ない。
「次、帰ってきた時にはきっと強いわたくしになっているからね」と馬車に乗り込んだ。
殿下には卒業パーティーの翌日、つまり明日立太子の義が終わってから、婚約解消の報告がされるらしい。
その時に手紙を渡してもらえるようにお願いしている。
さようなら 殿下
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今日から隣国メリーサ帝国の学園に2学年から編入する。
もちろんラフィーネも一緒に。
帝国のリスナート公爵家に嫁いだお母様のお姉様、つまり伯母様とは何度かお会いしている。
お母様をおっとり系だとすると、伯母様は優しい顔立ちだがさっぱり系で人によってはキツく感じる人もいるだろう。
ラフィーネは顔は伯父様似で、性格は伯母様似。
公爵家にはラフィーネの4歳年上のテオドールお兄様と4人家族でテオ兄様と呼ばさせてもらっている。
テオ兄様は伯母様似で優しい顔立ちの美男子だ。
6歳で婚約するまでは、母国と隣国を行ったり来たりしながら交流を持っていた。
その頃兄妹のいないわたくしは優しいテオ兄様の後を追いかけては構ってもらっていた。
みんなに見送られラフィーネと馬車に乗り込む。
母国では出来なかった友達を帝国で作ることが第1の目標だ。
「緊張しないで大丈夫よ。レティシアなら友達なんてすぐにできるわよ。自慢の従姉妹なんだから!」
「そうだといいけれど・・・」自信がない。
「大丈夫!見た目だってこんなに可愛いのよ!性格だって控えめで守ってあげたくなるわ!」
「前の学園では誰もそんなこと言ってくれなかったわ」
「大丈夫だって!ここは帝国よ!レティシアのことを色眼鏡で見る人はいないわ!」
「そうかな?」
なんて励まされているうちに編入する学園に着いた。
馬車からラフィーネが先に降りて、続いてわたくしが降りると一斉に注目を浴びた。
一瞬体が強ばったがラフィーネが手を引いてくれたことで余計な力が抜けた。
「ラフィーネじゃない!」「帰ってきたの?」前から2人の令嬢が歩いてくる。
「あら?もしかしてレティなの?」
え?
「はい、レティシアと申します。」
「やっぱり!覚えてない?昔リスナート公爵家でよく遊んだでしょ?」
「もしかしてリットにアリス?」
「そうよ!」「覚えてるじゃない!」
リットとアリスは双子の姉妹で帝国に来た時にはよく遊んだ。というか面倒を見てもらっていた。
2人は双子だけあって見た目はそっくり。
性格もそっくり。
親も間違えると聞いていたけれど、わたくしは間違えたことがなかった。
「あとでゆっくり話しましょう」「同じクラスになれるといわね」と別れてわたくしとラフィーネは職員室に向かった。
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