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オルト嬢は太陽の日射しを浴びて、お父様の濃紺の髪を見てその場で震えだした。

そしてお父様は無表情のままオルト嬢に説明しだした。

昔からオルト嬢の母親に付き纏われて迷惑をしていたこと。

女性と話すだけで執拗にその相手を虐めていたこと。

何度断っても求婚してきたこと。

自分がお父様の婚約者だと触れ回っていたこと。

とうとう我慢の限界に達したお父様はソルトレグス帝国に留学したこと。

そこで最愛の妻を見つけ、レグルス兄様と私の2人の子供を授かったこと。

最愛の妻は亡くしたが再婚する気は一切ないこと。

そして・・・オルト嬢のお母様のことは顔を見ることも受け付けられない程だということ。

お父様は外交の仕事で、レグルス兄様は留学で留守の間にラグーナ侯爵家に後妻として入り込み、娘までお父様の子だと偽り侵入していたこと。

オルト嬢の母親はユティフローラの部屋もドレスも宝飾品もお父様からのプレゼントだと偽っていたこと。

レグルス兄様が留学から帰ってくるまで我が物顔でラグーナ侯爵夫人として振る舞い、ユティフローラを監禁して暴力を振るっていたこと。

それが発覚した為ラグーナ侯爵家から追い出すのは当然だということ。

最後にオルト嬢の父親は、オルト男爵で間違いないことを伝えた。

真っ青な顔でずっと震えていたオルト嬢がどこまでお父様の話しを理解しているかは分からないが、護衛騎士に支えられながら馬車に乗り込んだ。
母親の言葉を鵜呑みに・・・信じていたオルト嬢を哀れには思うけれど、彼女の身を守るためにも真実を知ることは必要だった。

さすがに私の水死体を用意していたことや、執事長の家族を監禁して脅していたこと、母親がすでに・・・処刑されたことまでは話さなかった。

「これで二度とユティを偽物だとか、自分が本物だと言わなければいいが・・・」

「これ以上ユティに何かしら絡んできた時には・・・ジルグレートが許さないでしょうね」

いつの間にかお兄様も応接間に入ってきていた。

「確かに皇太子にとってのユティ様は特別ですからね」

「その、皇太子様がいつもユティが話してくれる"ジル兄様"なのでしょう?」

「そうだよ。私にとってもジル兄様は特別なの。機会があればリアとエドにも紹介するね」

その後はお父様は仕事で外出しちゃったけれど、お兄様を混じえてお茶会を再開し楽しく過ごしたんだよね。
みんなオルト嬢のことには触れないように・・・







でも・・・彼女、オルト嬢はこの日から学園に来なくなったらしい。

やっと登校してきたのは冬期休暇も終わり1ヶ月が過ぎた頃。
以前の可愛らしい雰囲気から、まるで正反対の妖艶な雰囲気で・・・学園に姿を現した。



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