37 / 58
37
しおりを挟む
私たちとオルト嬢の会話を聞いていた人達からも『図々しい』『断られて当然』『マナー知らず』『嘘つき』などと批判的な声が聞こえてくる。
それも仕方ないよね。
彼女が私を偽物だと庶子だと噂を流した張本人だと、上級生の方たちは知っているもの。
これからオルト嬢がどう動くか・・・ね。
今回は諦めるか、ハリスンに頼むか、私に直接お願いしてくるか・・・
結果、次の日の放課後、馬車止めのところで声をかけられた。
「お願いします。わたくしもラグーナ嬢のお茶会に呼んでいただけませんか?」
お願いポーズがよく似合う可愛らしい顔。
返事はもう決まっていた。
「構いませんわ。でも親しくないオルト嬢な兄を紹介することは出来ませんが、それでもよろしくて?」
一瞬だけど目がキツくなったのを見逃さなかったけど、その後の笑顔への切り替えが早い!
「では明日二時に我が家にお越し下さいませ」
明日で彼女の勘違いを改めさせることが出来れば・・・
~ビアンカ・オルト男爵令嬢視点~
いつものようにバロアー様の隣に並んで食堂に行った。
いつもと違ったのは、食事の乗ったトレーを持ったままバロアー様があの子の座っているテーブルへ向かい自己紹介を始めたこと。
そして、わたくしには呼ばせてくれない名をあの子には呼ばせたこと。
さらに、あの子は『ハリスン』と敬称もなしで名を呼んだのに、バロアー様が蕩けるような笑顔だったことにムカついた。
しかも、ついでのように紹介され『はじめまして』とあの子に言われた。
その場で初めてじゃない!と言いたい。
だってあの子にラグーナ侯爵家を追い出されたのよ?
でも、あの子はわたくしの事を覚えていないような顔をしていた。
次の日にはバロアー様はあの子達のテーブルで食べるようになった。
わたくしには友達と食べたらいいよと突き放された。
ただでさえ、見目の良い者ばかりのあの子達のテーブルは目立っていたところに、人気のバロアー様が加わった事で視線を集めている。
それに最近わたくしの周りには男子生徒しかいない。
なぜか女子生徒から距離を置かれている気がする。
今までバロアー様を独り占めしていたから嫉妬れているのだろう。
今だって、食堂以外ではバロアー様の隣はわたくしだもの仕方がないわ。
女の嫉妬は見苦しいわね。
そんなある日、バロアー様がラグーナ侯爵家にお茶をしに行くと聞こえた。
すかさずわたくしも便乗しようとしたのに、返ってきたのは拒絶の言葉・・・
だからバロアー様に涙目で訴えたのに、断られてしまった。
でも、その時にレグルス様を紹介されると聞いて何がなんでもラグーナ侯爵家に行こうと、あの子に媚びたのに断られた。
父の許可がないと呼べないと言う。
『貴女の父じゃないわ!ラグーナ侯爵はわたくしの父よ!』と言いたいのを我慢して、食堂にいる皆んなを味方に付けることにした。
まるで意地悪されたかのように、悲しそうな顔を作って去れば、周りで会話を聞いていた人達はきっとわたくしに同情すると見越してね。
でも、優しく声をかけてくれるのは男子生徒ばかりで、女子生徒からは同情されるどころか距離を取られはじめた。
なぜ?
考えても仕方がないことは後まわしにして、いま考えることはどうやってあの子のお茶会に参加するか・・・
これでも色々と考えたのよ。
当日、ラグーナ侯爵家に訪問して招かれていると勘違いしたと通すかとか、バロアー様に執拗くお願いするかとか、でも普通に考えたら招待する側のあの子が許可しない限り門前払いされるのがオチ。
だから、プライドを捨てて頭を下げて本人にお願いしたわ。
こっちの気が抜けるほどあっさりと認めてもらえたけれど、レグルス様には紹介しないとキッパリと言われてしまった。
そんなものラグーナ侯爵家に入り込めれば後はどうにでもなるわ。
だってあの子に追い出されるまでわたくしはラグーナ侯爵家で過ごしていたもの。
留守だったお父様のお部屋に入室することは執事長たちに許されなかったけれど、お父様のお部屋の位置も、レグルス様のお部屋の位置も頭に入っているわ。
広い邸だから迷ったフリしてもいいわね。
やっと明日には帰ることが出来るのね。
懐かしい我が家に・・・
早くお父様に会いたい・・・
それに・・・レグルス様にも・・・会いたい。
それも仕方ないよね。
彼女が私を偽物だと庶子だと噂を流した張本人だと、上級生の方たちは知っているもの。
これからオルト嬢がどう動くか・・・ね。
今回は諦めるか、ハリスンに頼むか、私に直接お願いしてくるか・・・
結果、次の日の放課後、馬車止めのところで声をかけられた。
「お願いします。わたくしもラグーナ嬢のお茶会に呼んでいただけませんか?」
お願いポーズがよく似合う可愛らしい顔。
返事はもう決まっていた。
「構いませんわ。でも親しくないオルト嬢な兄を紹介することは出来ませんが、それでもよろしくて?」
一瞬だけど目がキツくなったのを見逃さなかったけど、その後の笑顔への切り替えが早い!
「では明日二時に我が家にお越し下さいませ」
明日で彼女の勘違いを改めさせることが出来れば・・・
~ビアンカ・オルト男爵令嬢視点~
いつものようにバロアー様の隣に並んで食堂に行った。
いつもと違ったのは、食事の乗ったトレーを持ったままバロアー様があの子の座っているテーブルへ向かい自己紹介を始めたこと。
そして、わたくしには呼ばせてくれない名をあの子には呼ばせたこと。
さらに、あの子は『ハリスン』と敬称もなしで名を呼んだのに、バロアー様が蕩けるような笑顔だったことにムカついた。
しかも、ついでのように紹介され『はじめまして』とあの子に言われた。
その場で初めてじゃない!と言いたい。
だってあの子にラグーナ侯爵家を追い出されたのよ?
でも、あの子はわたくしの事を覚えていないような顔をしていた。
次の日にはバロアー様はあの子達のテーブルで食べるようになった。
わたくしには友達と食べたらいいよと突き放された。
ただでさえ、見目の良い者ばかりのあの子達のテーブルは目立っていたところに、人気のバロアー様が加わった事で視線を集めている。
それに最近わたくしの周りには男子生徒しかいない。
なぜか女子生徒から距離を置かれている気がする。
今までバロアー様を独り占めしていたから嫉妬れているのだろう。
今だって、食堂以外ではバロアー様の隣はわたくしだもの仕方がないわ。
女の嫉妬は見苦しいわね。
そんなある日、バロアー様がラグーナ侯爵家にお茶をしに行くと聞こえた。
すかさずわたくしも便乗しようとしたのに、返ってきたのは拒絶の言葉・・・
だからバロアー様に涙目で訴えたのに、断られてしまった。
でも、その時にレグルス様を紹介されると聞いて何がなんでもラグーナ侯爵家に行こうと、あの子に媚びたのに断られた。
父の許可がないと呼べないと言う。
『貴女の父じゃないわ!ラグーナ侯爵はわたくしの父よ!』と言いたいのを我慢して、食堂にいる皆んなを味方に付けることにした。
まるで意地悪されたかのように、悲しそうな顔を作って去れば、周りで会話を聞いていた人達はきっとわたくしに同情すると見越してね。
でも、優しく声をかけてくれるのは男子生徒ばかりで、女子生徒からは同情されるどころか距離を取られはじめた。
なぜ?
考えても仕方がないことは後まわしにして、いま考えることはどうやってあの子のお茶会に参加するか・・・
これでも色々と考えたのよ。
当日、ラグーナ侯爵家に訪問して招かれていると勘違いしたと通すかとか、バロアー様に執拗くお願いするかとか、でも普通に考えたら招待する側のあの子が許可しない限り門前払いされるのがオチ。
だから、プライドを捨てて頭を下げて本人にお願いしたわ。
こっちの気が抜けるほどあっさりと認めてもらえたけれど、レグルス様には紹介しないとキッパリと言われてしまった。
そんなものラグーナ侯爵家に入り込めれば後はどうにでもなるわ。
だってあの子に追い出されるまでわたくしはラグーナ侯爵家で過ごしていたもの。
留守だったお父様のお部屋に入室することは執事長たちに許されなかったけれど、お父様のお部屋の位置も、レグルス様のお部屋の位置も頭に入っているわ。
広い邸だから迷ったフリしてもいいわね。
やっと明日には帰ることが出来るのね。
懐かしい我が家に・・・
早くお父様に会いたい・・・
それに・・・レグルス様にも・・・会いたい。
205
お気に入りに追加
2,402
あなたにおすすめの小説
全てを諦めた令嬢の幸福
セン
恋愛
公爵令嬢シルヴィア・クロヴァンスはその奇異な外見のせいで、家族からも幼い頃からの婚約者からも嫌われていた。そして学園卒業間近、彼女は突然婚約破棄を言い渡された。
諦めてばかりいたシルヴィアが周りに支えられ成長していく物語。
※途中シリアスな話もあります。
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
(完結)「君を愛することはない」と言われて……
青空一夏
恋愛
ずっと憧れていた方に嫁げることになった私は、夫となった男性から「君を愛することはない」と言われてしまった。それでも、彼に尽くして温かい家庭をつくるように心がければ、きっと愛してくださるはずだろうと思っていたのよ。ところが、彼には好きな方がいて忘れることができないようだったわ。私は彼を諦めて実家に帰ったほうが良いのかしら?
この物語は憧れていた男性の妻になったけれど冷たくされたお嬢様を守る戦闘侍女たちの活躍と、お嬢様の恋を描いた作品です。
主人公はお嬢様と3人の侍女かも。ヒーローの存在感増すようにがんばります! という感じで、それぞれの視点もあります。
以前書いたもののリメイク版です。多分、かなりストーリーが変わっていくと思うので、新しい作品としてお読みください。
※カクヨム。なろうにも時差投稿します。
※作者独自の世界です。
理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました
ぺきぺき
恋愛
王家の次男として生まれたヨーゼフには幼い頃から決められていた婚約者がいた。兄の補佐として育てられ、兄の息子が立太子した後には臣籍降下し大公になるよていだった。
このヨーゼフ、優秀な頭脳を持ち、立派な大公となることが期待されていたが、幼い頃に見た絵本のお姫様を理想の女性として探し続けているという残念なところがあった。
そしてついに貴族学園で絵本のお姫様とそっくりな令嬢に出会う。
ーーーー
若気の至りでやらかしたことに苦しめられる主人公が最後になんとか幸せになる話。
作者別作品『二人のエリーと遅れてあらわれるヒーローたち』のスピンオフになっていますが、単体でも読めます。
完結まで執筆済み。毎日四話更新で4/24に完結予定。
第一章 無計画な婚約破棄
第二章 無計画な白い結婚
第三章 無計画な告白
第四章 無計画なプロポーズ
第五章 無計画な真実の愛
エピローグ
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
恋した殿下、あなたに捨てられることにします〜魔力を失ったのに、なかなか婚約解消にいきません〜
百門一新
恋愛
魔力量、国内第二位で王子様の婚約者になった私。けれど、恋をしたその人は、魔法を使う才能もなく幼い頃に大怪我をした私を認めておらず、――そして結婚できる年齢になった私を、運命はあざ笑うかのように、彼に相応しい可愛い伯爵令嬢を寄こした。想うことにも疲れ果てた私は、彼への想いを捨て、彼のいない国に嫁ぐべく。だから、この魔力を捨てます――。
※「小説家になろう」、「カクヨム」でも掲載
【完結】私は側妃ですか? だったら婚約破棄します
hikari
恋愛
レガローグ王国の王太子、アンドリューに突如として「側妃にする」と言われたキャサリン。一緒にいたのはアトキンス男爵令嬢のイザベラだった。
キャサリンは婚約破棄を告げ、護衛のエドワードと侍女のエスターと共に実家へと帰る。そして、魔法使いに弟子入りする。
その後、モナール帝国がレガローグに侵攻する話が上がる。実はエドワードはモナール帝国のスパイだった。後に、エドワードはモナール帝国の第一皇子ヴァレンティンを紹介する。
※ざまあの回には★がついています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる