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私たちとオルト嬢の会話を聞いていた人達からも『図々しい』『断られて当然』『マナー知らず』『嘘つき』などと批判的な声が聞こえてくる。
それも仕方ないよね。
彼女が私を偽物だと庶子だと噂を流した張本人だと、上級生の方たちは知っているもの。
これからオルト嬢がどう動くか・・・ね。
今回は諦めるか、ハリスンに頼むか、私に直接お願いしてくるか・・・
結果、次の日の放課後、馬車止めのところで声をかけられた。
「お願いします。わたくしもラグーナ嬢のお茶会に呼んでいただけませんか?」
お願いポーズがよく似合う可愛らしい顔。
返事はもう決まっていた。
「構いませんわ。でも親しくないオルト嬢な兄を紹介することは出来ませんが、それでもよろしくて?」
一瞬だけど目がキツくなったのを見逃さなかったけど、その後の笑顔への切り替えが早い!
「では明日二時に我が家にお越し下さいませ」
明日で彼女の勘違いを改めさせることが出来れば・・・
~ビアンカ・オルト男爵令嬢視点~
いつものようにバロアー様の隣に並んで食堂に行った。
いつもと違ったのは、食事の乗ったトレーを持ったままバロアー様があの子の座っているテーブルへ向かい自己紹介を始めたこと。
そして、わたくしには呼ばせてくれない名をあの子には呼ばせたこと。
さらに、あの子は『ハリスン』と敬称もなしで名を呼んだのに、バロアー様が蕩けるような笑顔だったことにムカついた。
しかも、ついでのように紹介され『はじめまして』とあの子に言われた。
その場で初めてじゃない!と言いたい。
だってあの子にラグーナ侯爵家を追い出されたのよ?
でも、あの子はわたくしの事を覚えていないような顔をしていた。
次の日にはバロアー様はあの子達のテーブルで食べるようになった。
わたくしには友達と食べたらいいよと突き放された。
ただでさえ、見目の良い者ばかりのあの子達のテーブルは目立っていたところに、人気のバロアー様が加わった事で視線を集めている。
それに最近わたくしの周りには男子生徒しかいない。
なぜか女子生徒から距離を置かれている気がする。
今までバロアー様を独り占めしていたから嫉妬れているのだろう。
今だって、食堂以外ではバロアー様の隣はわたくしだもの仕方がないわ。
女の嫉妬は見苦しいわね。
そんなある日、バロアー様がラグーナ侯爵家にお茶をしに行くと聞こえた。
すかさずわたくしも便乗しようとしたのに、返ってきたのは拒絶の言葉・・・
だからバロアー様に涙目で訴えたのに、断られてしまった。
でも、その時にレグルス様を紹介されると聞いて何がなんでもラグーナ侯爵家に行こうと、あの子に媚びたのに断られた。
父の許可がないと呼べないと言う。
『貴女の父じゃないわ!ラグーナ侯爵はわたくしの父よ!』と言いたいのを我慢して、食堂にいる皆んなを味方に付けることにした。
まるで意地悪されたかのように、悲しそうな顔を作って去れば、周りで会話を聞いていた人達はきっとわたくしに同情すると見越してね。
でも、優しく声をかけてくれるのは男子生徒ばかりで、女子生徒からは同情されるどころか距離を取られはじめた。
なぜ?
考えても仕方がないことは後まわしにして、いま考えることはどうやってあの子のお茶会に参加するか・・・
これでも色々と考えたのよ。
当日、ラグーナ侯爵家に訪問して招かれていると勘違いしたと通すかとか、バロアー様に執拗くお願いするかとか、でも普通に考えたら招待する側のあの子が許可しない限り門前払いされるのがオチ。
だから、プライドを捨てて頭を下げて本人にお願いしたわ。
こっちの気が抜けるほどあっさりと認めてもらえたけれど、レグルス様には紹介しないとキッパリと言われてしまった。
そんなものラグーナ侯爵家に入り込めれば後はどうにでもなるわ。
だってあの子に追い出されるまでわたくしはラグーナ侯爵家で過ごしていたもの。
留守だったお父様のお部屋に入室することは執事長たちに許されなかったけれど、お父様のお部屋の位置も、レグルス様のお部屋の位置も頭に入っているわ。
広い邸だから迷ったフリしてもいいわね。
やっと明日には帰ることが出来るのね。
懐かしい我が家に・・・
早くお父様に会いたい・・・
それに・・・レグルス様にも・・・会いたい。
それも仕方ないよね。
彼女が私を偽物だと庶子だと噂を流した張本人だと、上級生の方たちは知っているもの。
これからオルト嬢がどう動くか・・・ね。
今回は諦めるか、ハリスンに頼むか、私に直接お願いしてくるか・・・
結果、次の日の放課後、馬車止めのところで声をかけられた。
「お願いします。わたくしもラグーナ嬢のお茶会に呼んでいただけませんか?」
お願いポーズがよく似合う可愛らしい顔。
返事はもう決まっていた。
「構いませんわ。でも親しくないオルト嬢な兄を紹介することは出来ませんが、それでもよろしくて?」
一瞬だけど目がキツくなったのを見逃さなかったけど、その後の笑顔への切り替えが早い!
「では明日二時に我が家にお越し下さいませ」
明日で彼女の勘違いを改めさせることが出来れば・・・
~ビアンカ・オルト男爵令嬢視点~
いつものようにバロアー様の隣に並んで食堂に行った。
いつもと違ったのは、食事の乗ったトレーを持ったままバロアー様があの子の座っているテーブルへ向かい自己紹介を始めたこと。
そして、わたくしには呼ばせてくれない名をあの子には呼ばせたこと。
さらに、あの子は『ハリスン』と敬称もなしで名を呼んだのに、バロアー様が蕩けるような笑顔だったことにムカついた。
しかも、ついでのように紹介され『はじめまして』とあの子に言われた。
その場で初めてじゃない!と言いたい。
だってあの子にラグーナ侯爵家を追い出されたのよ?
でも、あの子はわたくしの事を覚えていないような顔をしていた。
次の日にはバロアー様はあの子達のテーブルで食べるようになった。
わたくしには友達と食べたらいいよと突き放された。
ただでさえ、見目の良い者ばかりのあの子達のテーブルは目立っていたところに、人気のバロアー様が加わった事で視線を集めている。
それに最近わたくしの周りには男子生徒しかいない。
なぜか女子生徒から距離を置かれている気がする。
今までバロアー様を独り占めしていたから嫉妬れているのだろう。
今だって、食堂以外ではバロアー様の隣はわたくしだもの仕方がないわ。
女の嫉妬は見苦しいわね。
そんなある日、バロアー様がラグーナ侯爵家にお茶をしに行くと聞こえた。
すかさずわたくしも便乗しようとしたのに、返ってきたのは拒絶の言葉・・・
だからバロアー様に涙目で訴えたのに、断られてしまった。
でも、その時にレグルス様を紹介されると聞いて何がなんでもラグーナ侯爵家に行こうと、あの子に媚びたのに断られた。
父の許可がないと呼べないと言う。
『貴女の父じゃないわ!ラグーナ侯爵はわたくしの父よ!』と言いたいのを我慢して、食堂にいる皆んなを味方に付けることにした。
まるで意地悪されたかのように、悲しそうな顔を作って去れば、周りで会話を聞いていた人達はきっとわたくしに同情すると見越してね。
でも、優しく声をかけてくれるのは男子生徒ばかりで、女子生徒からは同情されるどころか距離を取られはじめた。
なぜ?
考えても仕方がないことは後まわしにして、いま考えることはどうやってあの子のお茶会に参加するか・・・
これでも色々と考えたのよ。
当日、ラグーナ侯爵家に訪問して招かれていると勘違いしたと通すかとか、バロアー様に執拗くお願いするかとか、でも普通に考えたら招待する側のあの子が許可しない限り門前払いされるのがオチ。
だから、プライドを捨てて頭を下げて本人にお願いしたわ。
こっちの気が抜けるほどあっさりと認めてもらえたけれど、レグルス様には紹介しないとキッパリと言われてしまった。
そんなものラグーナ侯爵家に入り込めれば後はどうにでもなるわ。
だってあの子に追い出されるまでわたくしはラグーナ侯爵家で過ごしていたもの。
留守だったお父様のお部屋に入室することは執事長たちに許されなかったけれど、お父様のお部屋の位置も、レグルス様のお部屋の位置も頭に入っているわ。
広い邸だから迷ったフリしてもいいわね。
やっと明日には帰ることが出来るのね。
懐かしい我が家に・・・
早くお父様に会いたい・・・
それに・・・レグルス様にも・・・会いたい。
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