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しおりを挟む私の予想通りオルト嬢の傍にいたのはハリスンだった・・・
だったらもっと早く挨拶がてら顔を見せてくれたら良かったのに!
私がハリスンと再開したのは、もうすぐ秋も終わり冬に入る手前の少し肌寒くなってきた頃だった。
「こんにちは。ユティフローラちゃん」
その日は学園が休みで、我が家にリアとエドがお茶をしに来ていた時だった。
聞き覚えのある声に振り向くと、整った綺麗な顔のハリスンが私を見て面白そうなニヤけた顔をしていた・・・
「・・・ハリスン」
やっぱり貴方だったのね。
ふぅっと、呆れの溜め息が出たのは仕方がないよね?
「ユティこの方は?」
「紹介するね。彼は「僕はソルトレグス帝国からの留学生、ハリスン・バロアーだよ。よろしくね。ユティフローラちゃんとは幼馴染みなんだ」
私の言葉を遮ってハリスンがリアとエドに自己紹介した。
リアとエドも簡単に自己紹介をしてハリスンが話し出す。
部屋にはお兄様と私、リアとエド、ゼガードとハリスンの6人。
最近オルト嬢がブリジック嬢に接触したそうだ。
どうも、ブリジック嬢はあの日も私に恥をかかせようとしてゼガードに返り討ちにあった事で、さらに私を恨んでいたらしい。
そこへ、ブリジック嬢へ言葉巧みに近付き交流をするようになったとか・・・
学園内では人目もあり素知らぬ顔をしているが、休日にはオルト嬢がブリジック侯爵家を訪ねるようになったそうだ。
「で、ブリジック嬢は街の破落戸にユティフローラちゃんとリアちゃんの誘拐を依頼したと報告があった。その後2人がどうなるか・・・分かるよね?」
「なんですって~!!」
「あの女・・・」
ハリスンの言葉にリアが激昂した。
エドも眉間にはシワが寄っている。
「まあ安心して、破落戸への依頼の証拠とともにブリジック嬢はすでに捕らえている。これはグラドラ国王もご存知だよ。」
「当然です。ソルトレグス帝国の皇女の娘であり、皇太子の婚約者であるユティ様を狙ったのですから」
「そ、だからブリジック嬢は修道院送りになったよ。・・・エド君よかったね。もう二度と彼女と会うことはないよ」
それで、取り調べでオルト嬢がブリジック嬢を唆した証言は取れなかったと・・・
オルト嬢はエドを誰かに取られるんじゃないかと不安がるブリジック嬢の話しを聞いていただけだと・・・
では、何の為にブリジック嬢に近づいたのか疑問は残るが私とリアが攫われる心配はなくなった。
「オルト嬢だけど、本気で自分がラグーナ侯爵家の娘だと信じていてさあ、ユティフローラちゃんのことを僕にも庶子だと言っていたよ」
「やっぱり・・・誰の言葉ならその勘違いを訂正できるのかな?」
「父上か、王家の言葉ぐらいじゃないかな?それか、オルト嬢の母親が何をしたのか本人に教えるかだね」
あの時はまだ未成年だったオルト嬢に母親が処刑された事は伏せられたと聞いている。
でも、今なら真実を話してもいいと思うのだけど・・・
それにあの時、執事長の家族を監禁していた人も、私の遺体を用意した人もまだ見つかっていないと聞いていたけど・・・
ブリジック嬢の母親はもう処刑されている。
協力者も分かったから処刑されたんだ・・・と思う。
きっと聞いてもお父様もお兄様も教えてはくれないのだろうな。
「それで相談なんだけど、僕の恋人のように張り付いているオルト嬢の前でユティフローラちゃんに声をかけてもいい?」
「・・・何を言ってるの?」
「何か考えがあるのか?」
「彼女さあ、どうもレグルス様に一目惚れしたようでね、自分と結婚したらレグルス様がラグーナ侯爵家を継げると思っているようだよ」
「はあ?バカじゃないの?どこまで自分に都合のいい頭をしているのよ!」
リア!分かったから落ち着いて!
「リア嬢の言う通りだね。ユティを傷つけた女の娘と結婚するぐらいなら生涯独身を貫くよ」
「だからね、希望を与えてドン底に落とそうかと・・・どう?」
まだオルト嬢に直接何かされたわけでもないけれど・・・でも庶子だと、偽物だと噂を流されたんだよね。
それを信じて行動した令嬢たちは謹慎を言い渡されたし、私も嫌な目で見られていたもんね。
どこかでオルト嬢の間違いを矯正しないと、いつかは私に牙を向けてくるのは間違いないものね。
「分かったわ。何か考えがあるのでしょう?」
取り敢えずハリスンの考えを聞いて納得した後、作戦会議になった・・・
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