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あの次の日からブリジック嬢の姿を見かける事がなくなった・・・らしい。
らしいと言うのも、リアから聞くまでブリジック嬢の事を忘れていたからなんだけどね。
だって、校舎も違えば学年も違うんだよ?
今までだって食堂以外ではほとんど会うことがなかったんだよ?
だから忘れていても仕方がないでしょ?
そんな残念な子を見るような目で見ないで!
最近はゼガードも慣れてきたのか詰まらずにユティと呼べるようになった。
あの日、ゼガードが食堂でソルトレグス帝国の侯爵子息で私が従兄妹だと言ってから、以前のように蔑んだ目を向けてくる人が減った。
賢い人は私が庶子ではないと気付いたようだ。
だけど、まだいるんだよね。
それよりも、2年にもソルトレグス帝国から編入してきた留学生がいると噂で聞いた。
金髪にエメラルドグリーンの瞳の見目麗しい令息だとか・・・
噂では人当たりもよく、気取ったところもなく、紳士的だから女性からの人気が高いとか・・・
・・・思い当たる人物が1人だけいたりする。
まさかハリスンだったりしないよね?
だって、その噂の彼の傍には恋人気取りのオルト嬢がいると聞いたから・・・。
ハリスンなら情報収集に適しているだろうし、ジル兄様が送り込むならハリスンを選ぶような気がするから。
オルト嬢はあの恐ろしい人の娘。
私を殴る蹴るして絶望を与え続けた人の娘。
あと少しでもジル兄様に助け出されるのが遅かったら・・・きっと私は今ここにいない。
義妹だと1度だけ紹介され(実際は私よりも一歳上だった)顔も忘れていたオルト嬢が私を庶子だと噂を広めたのは聞いている。
自分をラグーナ侯爵家の娘だと信じている。
そう、彼女は信じている・・・
あの時・・・彼女の母親が我が家に入り込み私を排除しようとしたように、今度は彼女がそれをするかもしれない・・・
自分をラグーナ侯爵家、お父様の娘だと信じているから・・・
自分の居場所を取り戻そうとするだろう。
(何をしようともお父様の血を一滴も引いていないオルト嬢をラグーナ侯爵家の娘だと認める人など1人もいないのに・・・)
だから、彼女の企みを把握する為に傍にジル兄様の手の者が付いたのだろうと思う。
・・・これは私の憶測で、実はソルトレグス帝国からの留学生が本気でオルト嬢を好きになっている可能性もあるけれどね。
~ビアンカ・オルト男爵令嬢視点~
見目麗しいバロアー様はそこに居るだけで周りから視線を集める。
見た目が良いだけではなく、彼は身分関係なく誰に対しても気取らないし、紳士的だし話しも上手い。
そんな彼だから編入してきたばかりなのに人気者になった。
だから、なるべく彼のそばに居ることにした。
周りから向けられる嫉妬の視線が気持ちいい。
優越感を与えてくれるバロアー様はわたくしのお気に入り。
もっと特別感を出したくて、彼にさり気なく『わたくしのことはビアンカとお呼びください』と恥じらうように言ったの。
バロアー様からも『ハリスンと呼んで』と返ってくると思っていたのに『僕は特別な子しか名前を呼ばないし、僕の名前も呼ばせたくないんだよね』と微笑みながら断られてしまった・・・
それ以上執拗くすると、彼がわたくしから離れてしまいそうで無理強いは出来なかった。
でも、バロアー様に婚約者が居ないことは本人からすでに確認済み。
もしかしたらソルトレグス帝国にバロアー様の想い人がいるのかもしれないけれど、ここでは関係ないわ。
わたくしが好きなのはレグルス様だけれど、学園内ではバロアー様を独り占めするつもりだもの。
でも・・・でも気づいてしまったの。
食堂に行くたびに一瞬だけれど、バロアー様が優しい眼差しであの子を見つめていることを・・・
偽物のクセに!
また、わたくしから奪うの?
ふつふつと怒りがわいてくる。
もうこれ以上あの子に奪われるのはイヤ!
ならどうすればいい?
元々あの子が存在しているだけで気に入らなかったのよ。
あの子が居なくなれば・・・
そうしたら、わたくしもラグーナ侯爵家に戻れるし、お父様と暮らせて、レグルス様と婚約できる。
・・・わたくし1人では計画は立てられても、実行するのは無理だわ。
協力者が必要。
あの子を恨む誰か・・・
この時、あの子を排除することしか考えていなかったわたくしをバロアー様がじっと見ていることに気付いていたら・・・
らしいと言うのも、リアから聞くまでブリジック嬢の事を忘れていたからなんだけどね。
だって、校舎も違えば学年も違うんだよ?
今までだって食堂以外ではほとんど会うことがなかったんだよ?
だから忘れていても仕方がないでしょ?
そんな残念な子を見るような目で見ないで!
最近はゼガードも慣れてきたのか詰まらずにユティと呼べるようになった。
あの日、ゼガードが食堂でソルトレグス帝国の侯爵子息で私が従兄妹だと言ってから、以前のように蔑んだ目を向けてくる人が減った。
賢い人は私が庶子ではないと気付いたようだ。
だけど、まだいるんだよね。
それよりも、2年にもソルトレグス帝国から編入してきた留学生がいると噂で聞いた。
金髪にエメラルドグリーンの瞳の見目麗しい令息だとか・・・
噂では人当たりもよく、気取ったところもなく、紳士的だから女性からの人気が高いとか・・・
・・・思い当たる人物が1人だけいたりする。
まさかハリスンだったりしないよね?
だって、その噂の彼の傍には恋人気取りのオルト嬢がいると聞いたから・・・。
ハリスンなら情報収集に適しているだろうし、ジル兄様が送り込むならハリスンを選ぶような気がするから。
オルト嬢はあの恐ろしい人の娘。
私を殴る蹴るして絶望を与え続けた人の娘。
あと少しでもジル兄様に助け出されるのが遅かったら・・・きっと私は今ここにいない。
義妹だと1度だけ紹介され(実際は私よりも一歳上だった)顔も忘れていたオルト嬢が私を庶子だと噂を広めたのは聞いている。
自分をラグーナ侯爵家の娘だと信じている。
そう、彼女は信じている・・・
あの時・・・彼女の母親が我が家に入り込み私を排除しようとしたように、今度は彼女がそれをするかもしれない・・・
自分をラグーナ侯爵家、お父様の娘だと信じているから・・・
自分の居場所を取り戻そうとするだろう。
(何をしようともお父様の血を一滴も引いていないオルト嬢をラグーナ侯爵家の娘だと認める人など1人もいないのに・・・)
だから、彼女の企みを把握する為に傍にジル兄様の手の者が付いたのだろうと思う。
・・・これは私の憶測で、実はソルトレグス帝国からの留学生が本気でオルト嬢を好きになっている可能性もあるけれどね。
~ビアンカ・オルト男爵令嬢視点~
見目麗しいバロアー様はそこに居るだけで周りから視線を集める。
見た目が良いだけではなく、彼は身分関係なく誰に対しても気取らないし、紳士的だし話しも上手い。
そんな彼だから編入してきたばかりなのに人気者になった。
だから、なるべく彼のそばに居ることにした。
周りから向けられる嫉妬の視線が気持ちいい。
優越感を与えてくれるバロアー様はわたくしのお気に入り。
もっと特別感を出したくて、彼にさり気なく『わたくしのことはビアンカとお呼びください』と恥じらうように言ったの。
バロアー様からも『ハリスンと呼んで』と返ってくると思っていたのに『僕は特別な子しか名前を呼ばないし、僕の名前も呼ばせたくないんだよね』と微笑みながら断られてしまった・・・
それ以上執拗くすると、彼がわたくしから離れてしまいそうで無理強いは出来なかった。
でも、バロアー様に婚約者が居ないことは本人からすでに確認済み。
もしかしたらソルトレグス帝国にバロアー様の想い人がいるのかもしれないけれど、ここでは関係ないわ。
わたくしが好きなのはレグルス様だけれど、学園内ではバロアー様を独り占めするつもりだもの。
でも・・・でも気づいてしまったの。
食堂に行くたびに一瞬だけれど、バロアー様が優しい眼差しであの子を見つめていることを・・・
偽物のクセに!
また、わたくしから奪うの?
ふつふつと怒りがわいてくる。
もうこれ以上あの子に奪われるのはイヤ!
ならどうすればいい?
元々あの子が存在しているだけで気に入らなかったのよ。
あの子が居なくなれば・・・
そうしたら、わたくしもラグーナ侯爵家に戻れるし、お父様と暮らせて、レグルス様と婚約できる。
・・・わたくし1人では計画は立てられても、実行するのは無理だわ。
協力者が必要。
あの子を恨む誰か・・・
この時、あの子を排除することしか考えていなかったわたくしをバロアー様がじっと見ていることに気付いていたら・・・
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