29 / 58
29
しおりを挟む
~ディオリス殿下視点~
ラグーナ侯爵令嬢のクラスの黒板に彼女を偽物だと、出ていけと落書きがあったとくすくす笑いながら話す令嬢たちの噂話を聞いてしまった。
あんなか弱そうな令嬢を蔑んで笑い者にする令嬢たちの神経が分からない。
彼女は教室で自分はラグーナ侯爵家の娘だと毅然とした態度で断言したという。
彼女を慰めてあげたい。
私が彼女を守ってあげたい。
そう思っていたのに次の日から彼女は学園に来なくなった。
翌日には犯人が見つかったと耳に入ってきた。
エミリアとエドワードが彼女のために早朝から学園の護衛と張り込んで現行犯で捕まえたと・・・。
私はいつもこうだ。
行動が遅いんだ。
私が彼女を気にかけている所を見せれば、そんな噂をする者もいなくなるだろうと食堂で声をかけるつもりだった。
彼女を中傷した令嬢たちは謹慎を言い渡された。
原因となったオルト嬢は学園長から二度と彼女を偽物などと嘘の情報を流すなと厳重注意を受けた。
これは他の生徒達の耳に入ることは無いが、王族の私には報告があった。
これでオルト嬢が孤立するのかと思えば、教室の隅で小柄なオルト嬢がしくしく泣いている姿が余程痛々しく見えたのか同情する子息や令嬢が多く、皆はオルト嬢が本当の娘だからこそ、こうして泣いているのだと信じてしまったようだった。
そのオルト嬢の態度で彼女が偽物だと学園中に広まってしまったんだ。
休日明けには彼女が登校することを願って帰ろうと廊下を歩いている時に、角から飛び出してきたオルト嬢とぶつかりそうになった。
護衛が前に出ようとするのを目で止めた。
転びそうになったオルト嬢に思わず手を出して支えると私の袖を掴み、いかにも泣いていましたと分かるように私を涙目で見上げてきたオルト嬢に対し"王子の私を味方につけよう"と企んでいると直感が告げる。
普通の人から見たら小柄で可愛いオルト嬢は庇護欲をそそられるのだろうが、私はそんな甘い教育を受けてきていない。
「も、申し訳ございません。わ、わたくし・・・」
君はか弱い振りをした強欲な令嬢・・・だったんだね。
「貴族の令嬢なら廊下は走らないように教育されているばずだが?私には君が本性を隠し、被害者ぶった仮面を被っても通用しないよ」
「・・・な、何を仰っているのか分かりません」
俯いて泣き出すオルト嬢を冷めた目で見下ろした。
「私を騙せるとは思わないことだ」
オルト嬢にだけ聞こえるように囁いて、まだ私の袖を掴む手を振りほどいた。
ラグーナ侯爵令嬢のことを思い浮かべながら待たせてある馬車まで歩く。
あの、背筋を伸ばし凛とした彼女ならオルト嬢のような小賢し真似は絶対にしない。
これ以上彼女を傷つけられないよう私が守ってあげよう。
休日明けやっと彼女が登校してきた。
私が馬車から降りた時、あの可愛らしい顔でエミリアとエドワードと笑いながら歩いていく姿を見て安心した。
だが、周りの生徒たちの中には顔を歪めてひそひそと話をしている者が何人もいた。
誰がどう見ても彼女に悪意ある話だと分かる。
こんなことは日常茶飯事だ。
余程暇なのか貴族の令嬢は噂話が好きだ。
特にひとの不幸話は好物のようだ。
私が前を通ると醜く歪んだ顔を隠し媚びるような目を向けて挨拶してくる。
気持ち悪いと思いながらも顔には出さず軽く頷いてその場を去る。
校舎が違うため、下級生の彼女と交流しようと思ったら移動教室の時か、食堂ぐらいしかない。
確実なのは誰もが使う食堂だ。
私の忠告が効いたのかオルト嬢は近づいて来ない。
いつもなら花が咲いたような笑顔で挨拶してくるのにね。
元々オルト嬢は私を落とそうとしていた訳ではなく、私の友人というステータスが欲しかったのだろうが当てが外れたな。
私から見たオルト嬢は強かだ。
忠告はしたが、まだ何かしら企んで彼女に害を与えるようとするだろう。
その前に彼女を私の庇護下に置こう。
誰も彼女に手出しができないように・・・
私が食堂に着いた時にはエドワードとエミリア、そして彼女がいつもの席で楽しそうに会話をしながら食べている姿を見つけた。
ただでさえ目立つ3人。
エミリアは派手な顔立ちでキツく見える見た目だが間違いなく美人。
エドワードも冷たく見えるがかなり見目はいい。
ラグーナ嬢はぱっちりとした大きな目に可愛らしい庇護欲をそそる見た目だが、実際は周りの視線も嫌味も聞こえているだろうに、背筋を伸ばし堂々とした態度を貫く姿は賞賛に値する立派なものだ。
偶然を装って自然に見えるように空いている席に座った。
円卓の前の席には彼女。
彼女を正面から見ていられるいいポジションに満足していると、まるで私を邪魔者扱いする言葉は幼馴染を理由に軽く聞き流しラグーナ嬢から目を離さない。
(妖精のような令嬢だな。近付きすぎたら消えてしまいそうだ)
私を前にしても機嫌を伺うことも、緊張した様子もない大したものだ。
もっと彼女を知りたくて話しかけようとした時、私とエドワードにだけ挨拶するブリジック嬢が現れた。
エミリアとラグーナ嬢を居ないものとして無視し続けるブリジック嬢。
エミリアと席を立とうとするラグーナ嬢に慌てて声をかけるが引き止める私に不思議そうな顔で首を傾げる彼女の可愛い仕草に見惚れ何も言えない間にブリジック嬢が仕出かした。
頭から料理を被り美しい髪も、シワのない制服もドロドロになってしまった。
医務室まで案内しようとしたが、『いいえ結構ですわ。ディオリス殿下はブリジック嬢とごゆっくりお過ごし下さいませ』と淑女の微笑みを貼り付け拒絶された。
エドワードの上着を肩にかけたまま、背筋を伸ばし凛とした態度で食堂から出て行く彼女に見惚れたのは私だけではなかった・・・
残された私の前には侮蔑の笑みを浮かべラグーナ嬢の後ろ姿を見送るブリジック嬢。
誰が見てもあれはワザとだ。
タダでさえ皆の視線を集めていた所でやらかしたブリジック嬢に周りは非難の目を向けていた。
気付いていないのはブリジック嬢だけだ。
「ディオリス殿下、わざとではありませんのよ?」
言い訳をしだすが今更だな。
私はブリジック嬢をひと睨みして席を立った。
また私は助けられなかった。
彼女はオルト嬢だけでなく、ブリジック嬢にも敵意を向けられていたのか・・・
次こそは私が守ってみせる・・・
ラグーナ侯爵令嬢のクラスの黒板に彼女を偽物だと、出ていけと落書きがあったとくすくす笑いながら話す令嬢たちの噂話を聞いてしまった。
あんなか弱そうな令嬢を蔑んで笑い者にする令嬢たちの神経が分からない。
彼女は教室で自分はラグーナ侯爵家の娘だと毅然とした態度で断言したという。
彼女を慰めてあげたい。
私が彼女を守ってあげたい。
そう思っていたのに次の日から彼女は学園に来なくなった。
翌日には犯人が見つかったと耳に入ってきた。
エミリアとエドワードが彼女のために早朝から学園の護衛と張り込んで現行犯で捕まえたと・・・。
私はいつもこうだ。
行動が遅いんだ。
私が彼女を気にかけている所を見せれば、そんな噂をする者もいなくなるだろうと食堂で声をかけるつもりだった。
彼女を中傷した令嬢たちは謹慎を言い渡された。
原因となったオルト嬢は学園長から二度と彼女を偽物などと嘘の情報を流すなと厳重注意を受けた。
これは他の生徒達の耳に入ることは無いが、王族の私には報告があった。
これでオルト嬢が孤立するのかと思えば、教室の隅で小柄なオルト嬢がしくしく泣いている姿が余程痛々しく見えたのか同情する子息や令嬢が多く、皆はオルト嬢が本当の娘だからこそ、こうして泣いているのだと信じてしまったようだった。
そのオルト嬢の態度で彼女が偽物だと学園中に広まってしまったんだ。
休日明けには彼女が登校することを願って帰ろうと廊下を歩いている時に、角から飛び出してきたオルト嬢とぶつかりそうになった。
護衛が前に出ようとするのを目で止めた。
転びそうになったオルト嬢に思わず手を出して支えると私の袖を掴み、いかにも泣いていましたと分かるように私を涙目で見上げてきたオルト嬢に対し"王子の私を味方につけよう"と企んでいると直感が告げる。
普通の人から見たら小柄で可愛いオルト嬢は庇護欲をそそられるのだろうが、私はそんな甘い教育を受けてきていない。
「も、申し訳ございません。わ、わたくし・・・」
君はか弱い振りをした強欲な令嬢・・・だったんだね。
「貴族の令嬢なら廊下は走らないように教育されているばずだが?私には君が本性を隠し、被害者ぶった仮面を被っても通用しないよ」
「・・・な、何を仰っているのか分かりません」
俯いて泣き出すオルト嬢を冷めた目で見下ろした。
「私を騙せるとは思わないことだ」
オルト嬢にだけ聞こえるように囁いて、まだ私の袖を掴む手を振りほどいた。
ラグーナ侯爵令嬢のことを思い浮かべながら待たせてある馬車まで歩く。
あの、背筋を伸ばし凛とした彼女ならオルト嬢のような小賢し真似は絶対にしない。
これ以上彼女を傷つけられないよう私が守ってあげよう。
休日明けやっと彼女が登校してきた。
私が馬車から降りた時、あの可愛らしい顔でエミリアとエドワードと笑いながら歩いていく姿を見て安心した。
だが、周りの生徒たちの中には顔を歪めてひそひそと話をしている者が何人もいた。
誰がどう見ても彼女に悪意ある話だと分かる。
こんなことは日常茶飯事だ。
余程暇なのか貴族の令嬢は噂話が好きだ。
特にひとの不幸話は好物のようだ。
私が前を通ると醜く歪んだ顔を隠し媚びるような目を向けて挨拶してくる。
気持ち悪いと思いながらも顔には出さず軽く頷いてその場を去る。
校舎が違うため、下級生の彼女と交流しようと思ったら移動教室の時か、食堂ぐらいしかない。
確実なのは誰もが使う食堂だ。
私の忠告が効いたのかオルト嬢は近づいて来ない。
いつもなら花が咲いたような笑顔で挨拶してくるのにね。
元々オルト嬢は私を落とそうとしていた訳ではなく、私の友人というステータスが欲しかったのだろうが当てが外れたな。
私から見たオルト嬢は強かだ。
忠告はしたが、まだ何かしら企んで彼女に害を与えるようとするだろう。
その前に彼女を私の庇護下に置こう。
誰も彼女に手出しができないように・・・
私が食堂に着いた時にはエドワードとエミリア、そして彼女がいつもの席で楽しそうに会話をしながら食べている姿を見つけた。
ただでさえ目立つ3人。
エミリアは派手な顔立ちでキツく見える見た目だが間違いなく美人。
エドワードも冷たく見えるがかなり見目はいい。
ラグーナ嬢はぱっちりとした大きな目に可愛らしい庇護欲をそそる見た目だが、実際は周りの視線も嫌味も聞こえているだろうに、背筋を伸ばし堂々とした態度を貫く姿は賞賛に値する立派なものだ。
偶然を装って自然に見えるように空いている席に座った。
円卓の前の席には彼女。
彼女を正面から見ていられるいいポジションに満足していると、まるで私を邪魔者扱いする言葉は幼馴染を理由に軽く聞き流しラグーナ嬢から目を離さない。
(妖精のような令嬢だな。近付きすぎたら消えてしまいそうだ)
私を前にしても機嫌を伺うことも、緊張した様子もない大したものだ。
もっと彼女を知りたくて話しかけようとした時、私とエドワードにだけ挨拶するブリジック嬢が現れた。
エミリアとラグーナ嬢を居ないものとして無視し続けるブリジック嬢。
エミリアと席を立とうとするラグーナ嬢に慌てて声をかけるが引き止める私に不思議そうな顔で首を傾げる彼女の可愛い仕草に見惚れ何も言えない間にブリジック嬢が仕出かした。
頭から料理を被り美しい髪も、シワのない制服もドロドロになってしまった。
医務室まで案内しようとしたが、『いいえ結構ですわ。ディオリス殿下はブリジック嬢とごゆっくりお過ごし下さいませ』と淑女の微笑みを貼り付け拒絶された。
エドワードの上着を肩にかけたまま、背筋を伸ばし凛とした態度で食堂から出て行く彼女に見惚れたのは私だけではなかった・・・
残された私の前には侮蔑の笑みを浮かべラグーナ嬢の後ろ姿を見送るブリジック嬢。
誰が見てもあれはワザとだ。
タダでさえ皆の視線を集めていた所でやらかしたブリジック嬢に周りは非難の目を向けていた。
気付いていないのはブリジック嬢だけだ。
「ディオリス殿下、わざとではありませんのよ?」
言い訳をしだすが今更だな。
私はブリジック嬢をひと睨みして席を立った。
また私は助けられなかった。
彼女はオルト嬢だけでなく、ブリジック嬢にも敵意を向けられていたのか・・・
次こそは私が守ってみせる・・・
188
お気に入りに追加
2,381
あなたにおすすめの小説
ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?
望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。
ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。
転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを――
そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。
その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。
――そして、セイフィーラは見てしまった。
目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を――
※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。
※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)
妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る
星名柚花
恋愛
魔法が使えない伯爵令嬢セレスティアには美しい双子の妹・イノーラがいる。
国一番の魔力を持つイノーラは我儘な暴君で、セレスティアから婚約者まで奪った。
「もう無理、もう耐えられない!!」
イノーラの結婚式に無理やり参列させられたセレスティアは逃亡を決意。
「セラ」という偽名を使い、遠く離れたロドリー王国で侍女として働き始めた。
そこでセラには唯一無二のとんでもない魔法が使えることが判明する。
猫になる魔法をかけられた女性不信のユリウス。
表情筋が死んでいるユリウスの弟ノエル。
溺愛してくる魔法使いのリュオン。
彼らと共に暮らしながら、幸せに満ちたセラの新しい日々が始まる――
※他サイトにも投稿しています。
あなたの妻にはなりません
風見ゆうみ
恋愛
幼い頃から大好きだった婚約者のレイズ。
彼が伯爵位を継いだと同時に、わたしと彼は結婚した。
幸せな日々が始まるのだと思っていたのに、夫は仕事で戦場近くの街に行くことになった。
彼が旅立った数日後、わたしの元に届いたのは夫の訃報だった。
悲しみに暮れているわたしに近づいてきたのは、夫の親友のディール様。
彼は夫から自分の身に何かあった時にはわたしのことを頼むと言われていたのだと言う。
あっという間に日にちが過ぎ、ディール様から求婚される。
悩みに悩んだ末に、ディール様と婚約したわたしに、友人と街に出た時にすれ違った男が言った。
「あの男と結婚するのはやめなさい。彼は君の夫の殺害を依頼した男だ」
見捨てられた逆行令嬢は幸せを掴みたい
水空 葵
恋愛
一生大切にすると、次期伯爵のオズワルド様に誓われたはずだった。
それなのに、私が懐妊してからの彼は愛人のリリア様だけを守っている。
リリア様にプレゼントをする余裕はあっても、私は食事さえ満足に食べられない。
そんな状況で弱っていた私は、出産に耐えられなくて死んだ……みたい。
でも、次に目を覚ました時。
どういうわけか結婚する前に巻き戻っていた。
二度目の人生。
今度は苦しんで死にたくないから、オズワルド様との婚約は解消することに決めた。それと、彼には私の苦しみをプレゼントすることにしました。
一度婚約破棄したら良縁なんて望めないから、一人で生きていくことに決めているから、醜聞なんて気にしない。
そう決めて行動したせいで良くない噂が流れたのに、どうして次期侯爵様からの縁談が届いたのでしょうか?
※カクヨム様と小説家になろう様でも連載中・連載予定です。
7/23 女性向けHOTランキング1位になりました。ありがとうございますm(__)m
【完結】旦那様、わたくし家出します。
さくらもち
恋愛
とある王国のとある上級貴族家の新妻は政略結婚をして早半年。
溜まりに溜まった不満がついに爆破し、家出を決行するお話です。
名前無し設定で書いて完結させましたが、続き希望を沢山頂きましたので名前を付けて文章を少し治してあります。
名前無しの時に読まれた方は良かったら最初から読んで見てください。
登場人物のサイドストーリー集を描きましたのでそちらも良かったら読んでみてください( ˊᵕˋ*)
第二王子が10年後王弟殿下になってからのストーリーも別で公開中
半月後に死ぬと告げられたので、今まで苦しんだ分残りの人生は幸せになります!
八代奏多
恋愛
侯爵令嬢のレティシアは恵まれていなかった。
両親には忌み子と言われ冷遇され、婚約者は浮気相手に夢中。
そしてトドメに、夢の中で「半月後に死ぬ」と余命宣告に等しい天啓を受けてしまう。
そんな状況でも、せめて最後くらいは幸せでいようと、レティシアは努力を辞めなかった。
すると不思議なことに、状況も運命も変わっていく。
そしてある時、冷徹と有名だけど優しい王子様に甘い言葉を囁かれるようになっていた。
それを知った両親が慌てて今までの扱いを謝るも、レティシアは許す気がなくて……。
恵まれない令嬢が運命を変え、幸せになるお話。
※「小説家になろう」「カクヨム」でも公開しております。
俺はお前ではなく、彼女を一生涯愛し護り続けると決めたんだ! そう仰られた元婚約者様へ。貴方が愛する人が、夜会で大問題を起こしたようですよ?
柚木ゆず
恋愛
※9月20日、本編完結いたしました。明日21日より番外編として、ジェラール親子とマリエット親子の、最後のざまぁに関するお話を投稿させていただきます。
お前の家ティレア家は、財の力で爵位を得た新興貴族だ! そんな歴史も品もない家に生まれた女が、名家に生まれた俺に相応しいはずがない! 俺はどうして気付かなかったんだ――。
婚約中に心変わりをされたクレランズ伯爵家のジェラール様は、沢山の暴言を口にしたあと、一方的に婚約の解消を宣言しました。
そうしてジェラール様はわたしのもとを去り、曰く『お前と違って貴族然とした女性』であり『気品溢れる女性』な方と新たに婚約を結ばれたのですが――
ジェラール様。貴方の婚約者であるマリエット様が、侯爵家主催の夜会で大問題を起こしてしまったみたいですよ?
婚約者様。現在社交界で広まっている噂について、大事なお話があります
柚木ゆず
恋愛
婚約者様へ。
昨夜参加したリーベニア侯爵家主催の夜会で、私に関するとある噂が広まりつつあると知りました。
そちらについて、とても大事なお話がありますので――。これから伺いますね?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる